資源枯渇リスク

資源枯渇による様々なリスク

資源偏在による経済的リスクは、国民経済の持続可能性に直結する問題となりますが、その資源も消費を続ければいずれは枯渇します。今後、特定の資源を獲得するための困難の度合いは増していくと予想されますが、それら資源の枯渇を左右するのは供給サイドではなく使用サイドであり、資源枯渇は、経済的なリスクのみならず、人間社会や地球環境の持続性という問題もはらんでいます。

2050年には現有埋蔵量の数倍の金属資源が必要になる!?

NIMSがこれまでの金属使用量と経済成長の関連の解析をもとに、今後成長が見込まれ大幅な金属の使用が予想されるBRICs諸国を中心に、2050までの累積金属使用量の予測を行なった結果、2050年までに多くの種類の金属が現有の埋蔵量ではまかないきれなくなり、中には埋蔵量の数倍の使用量が予想される金属もあることがわかりました。

金・銀・銅・鉛・亜鉛などは、現埋蔵量の数倍の使用量が予想される

2050年までの累積で現有埋蔵量の数倍の使用量が予想される金属は、銅、鉛、亜鉛、金、銀、錫、ニッケル、マンガン、アンチモン、リチウム、インジウム、ガリウムで、このうち銅、鉛、亜鉛、錫、金は経済成長がある段階に達すると一人当たりGDPの増加に対して減少する傾向が現れますが、それでもBRICs諸国の使用量の増大で、現有埋蔵量を突破してしまうと予想されています。また、銅、鉛、亜鉛、金、銀、錫、ニッケル、アンチモン、インジウムは、「埋蔵量ベース」と呼ばれる“技術的には採掘可能だが経済的理由などで採掘対象とされていない資源の量”までも超過してしまう見込みです。
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鉄や白金(プラチナ)なども不足してしまう?

報告では、資源が比較的豊富とみなされている鉄や白金についても、2050年までには白金は現有埋蔵量を超過し、鉄も現有埋蔵量に匹敵する量の消費が予想されています。
  • 2050年に現有埋蔵量をほぼ使い切るもの
    鉄(Fe), モリブデン(Mo), タングステン(W), コバルト(Co), 白金(Pt), パラジウム(Pd)
  • 2050年までに現有埋蔵量の倍以上の使用量となるもの
    ニッケル(Ni), マンガン(Mn), リチウム(Li), インジウム(In), ガリウム(Ga)
  • 2050年までに埋蔵量ベースをも超えるもの
    銅(Cu), 鉛(Pb), 亜鉛(Zn), 金(Au), 銀(Ag), スズ(Sn)
比較的豊富な資源も2050年には現有埋蔵量を消費画像比較的豊富な資源も2050年には現有埋蔵量を消費 (クリックで拡大)
現有埋蔵量に対する2050年までの累積需要量画像現有埋蔵量に対する2050年までの累積需要量 (クリックで拡大)
埋蔵量ベースとの関係で言えば、白金やパラジウムの白金族元素は、一見他の金属資源ほどの深刻さはないようにも見えますが、埋蔵量と埋蔵量ベースの差が小さいため、累積消費量が現有埋蔵量に接近してくると、深刻な供給不安に陥るケースも想定されます。


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