国立研究開発法人 物質・材料研究機構 高分子・バイオ材料研究センター

menu

吉尾 正史 グループリーダーが日本液晶学会賞 業績賞を受賞


2026.09.12

「日本液晶学会賞 業績賞」は、液晶に関する科学および技術の基礎的研究において特に優れた業績を挙げ,学術あるいは産業の発展に貢献した者に対して、その業績を称えるため、一般社団法人日本液晶学会より授与される賞です。

「2026年度 日本液晶学会賞 業績賞」を受賞した吉尾 正史 グループリーダーの授賞の対象となった研究成果は、「イオン液体を基盤としたナノ相分離液晶の創製と動的機能開拓」です。

【受賞者名 (所属/職制)】
吉尾 正史 (分子メカトロニクスグループ グループリーダー)

【表彰名】
2026年度 日本液晶学会賞 業績賞 (一般社団法人日本液晶学会)

【受賞タイトル】
イオン液体を基盤としたナノ相分離液晶の創製と動的機能開拓

【研究業績概要】
ソフトロボットや触覚デバイスなど、人と安全かつ柔軟に相互作用する機器の実現には、しなやかに変形しながら大きな力を発生する新しいアクチュエータが求められている。しかし、低電圧駆動と柔軟性、高出力の両立は難しく、実用化に向けた大きな課題となっていた。

本研究では、この課題に対し、液晶分子が自発的に形成するナノ構造に着目し、三次元的に連結したイオンシェル構造をもつミセルキュービック液晶やカラムナー液晶を利用して、材料内部に秩序立ったイオン伝導経路を構築するという独創的な設計概念を確立した。これにより、柔軟な高分子内部に形成されたイオン伝導パスによって、イオンの高効率な移動と材料としての高い機械的安定性を両立することに成功した。さらに、この分子・ナノ構造設計をアクチュエータへ展開し、電気に応答して自在に変形するソフトデバイスを実現した。グリッパーロボットに加え、屈曲鏡や指輪型触覚デバイスなど、従来にない応用も実証している。分子の自己組織化によってイオン伝導経路を精密に設計し、柔らかさと力強さという相反する性質を一つの材料に与えた点に、本研究の独創性と大きな波及性がある。


2026年度 日本液晶学会賞 業績賞を授与された吉尾 正史 グループリーダー(右)と尾崎 雅則 日本液晶学会 会長(左)