講演2 | 「有機結晶のスピン依存伝導と高温超伝導接合の量子効果」 - 山口 尚秀
- (独) 物質・材料研究機構 ナノシステム機能センター ナノフロンティア材料グループ
相関電子系絶縁体である有機結晶q-(BEDT-TTF)2CsZn(SCN)4において見つけた特異な磁気抵抗効果について報告する。温度を下げるとともに、この結晶の抵抗は熱活性化型で増大する。低温で磁場をかけるとさらに抵抗が増大する。この効果は非常に大きく、T=0.1 K, B=17 Tにおける磁気抵抗比は10000%程度である。この磁気抵抗は磁場の方位に依存しないため、電子の軌道効果ではなくスピンに関連した効果であると考えられる。また、伝導度s はs (B)/s (B=0)=1/[1+(mB B/2kBT)2]のように、mBB/kBTの簡単な関数で書ける。伝導する電子のスピンと局在スピン (どちらもBEDT-TTFのHOMOを占める) が高磁場中で揃い、パウリの原理によって伝導が抑制されるのではないかと考えている。高温超伝導体ウィスカーからなるジョセフソン接合における量子効果についても講演する。 |