第2回 環境・エネルギー材料連続セミナー
再生可能エネルギー源と材料 ~太陽光・風力・海洋エネルギーと求められる材料~
セミナースケジュール
セミナースケジュール 15:00-15:10 | 開会の挨拶 - 原田 幸明
- (独) 物質・材料研究機構 材料ラボ長
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15:10-16:10 | 講演1 : 「グローバル二酸化炭素リサイクルのための材料と技術」 - 橋本 功二
- 東北大学名誉教授
再生可能エネルギー源の活用のために、電気エネルギーを燃料に変換して貯蓄し輸送するシナリオがあり、水素への返還が検討されている。例えば質の良い日照が得られる砂漠での太陽電池発電で得た電力を海水の電気分解で水素へ返還するシナリオである。しかし、水素燃料は輸送方法と燃焼装置の既存インフラがなく実現には莫大な資金が必要となる。さらに使いなれた燃料でないと全世界では使ってもらえない。 ここに提案するシナリオは「二酸化炭素+水素→メタン+水」という反応の利用である。ここでは二酸化炭素を有効資源として活用する。メタンを燃焼する際に発生する二酸化炭素はそのままメタン生成反応に利用すれば二酸化炭素を増加させることなくエネルギー安定供給が可能となる。グローバル二酸化炭素リサイクルを実現するための技術課題は、海水の電気分解に必要な電極の開発とメタン生成反応に必要な触媒の開発である。すなわち実現のカギは材料開発である。その研究動向と課題について述べる。 (講演50分、質疑応答10分) |
16:10-16:40 | 講演2 : 「風力発電と軽量材料 : 複合材料で可能となったこと、なること」 - 香川 豊
- 東京大学先端研教授、 (独) 物質・材料研究機構
近年注目を集めている風力発電技術が可能になった背景には繊維強化プラスチックス (FRP) などの軽くて強い構造材料の技術開発の寄与が大きい。この一方で、風力発電に用いられているFRPは更なる特性向上の余地が残された材料でもある。ここでは、FRPの中で近年用途が急増している炭素繊維強化系を中心に、現状で可能なこと、不可能なことを材料に求められるニーズという側面から紹介する。ついで、FRPの現状及び近未来の材料開発という側面からの可能性を述べ、更に高性能の軽量構造材料としてのFRPについて展望する。また、FRPの幅広い用途の広がりとその理由を環境・エネルギーという立場から考察し、軽量構造材料としての将来性を展望する。 (講演25分、質疑応答10分) |
16:40-17:10 | 講演3 : 「海洋発電と耐食材料 : 鉄鋼材料はどこまで使えるようになるか」 - 西村 俊弥
- (独) 物質・材料研究機構 新構造材料センター 主幹研究員
海洋発電において事業化の可能性が高い「海洋温度差発電」では、沖の鳥島海域などを候補地とした海水表層/深層温度差が最も大きい熱帯海洋域が有効とされている。海洋発電設備は、海水による腐食が著しく、設備寿命が短いことが大問題となる。ここでは、希少元素を用いずに高耐食性を発揮し、さらに金属組織を微細化して高強度を得た材料を含めて耐食鉄鋼材料の研究動向を示すことによって、設備のコンパクト化と低コスト化の可能性を述べる。 (講演25分、質疑応答5分) |
17:10-17:30 | フリー・ディスカッション |
17:30-18:30 | 懇親会 |