15:00-15:05 | 開会の挨拶 - 原田 幸明
- (独) 物質・材料研究機構 材料ラボ長
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15:05-15:45 | 講演1 : 「主要機器構造用オーステナイト系ステンレス鋼及び高クロム鋼の開発」 高速増殖炉の実用化に向けた炉心・構造材料の開発 (1) - 浅山 泰
- (独) 日本原子力研究開発機構 次世代原子力システム研究開発部門 FBR要素技術ユニット 炉心・構造材料グループリーダー
高速増殖炉サイクルは、2006年に国家基幹技術の一つとして選定され、2025年ごろには実証炉の運転開始を経て2050年までの実用化に向けた研究開発を進めている。実証炉・実用炉には、安全性・信頼性をさらに高めるとともに経済性を将来の軽水炉と比肩するレベルまで向上させるため、さまざまな革新技術を採用することを計画しており、その成立性見極めを2015年までに行うこととしている。高速増殖炉は冷却材に液体金属ナトリウムを使用しており、構成材料は高温環境と高速中性子による照射損傷に耐えることが要求されることが大きな特徴である。 構造材料の観点でのFBR実証炉・実用炉の大きな特徴は、もんじゅで用いられたSUS304と21/4Cr-1Mo鋼に代えて、316FR鋼と改良9Cr-1Mo鋼という新材料を採用することにより、炉容器等の機器のコンパクト化や配管短縮という合理的な設計を取り入れた設計寿命60年のプラントを実現することである。このために、従来にも増して長時間領域に重点を置いた材料データの拡充を継続するとともに、より精度の高いクリープ破断強度の外挿法やクリープ疲労強度評価法及び溶接継手強度評価法の開発を進めている。講演では、これらについての進捗を紹介するとともに、技術開発成果に基づき鋭意進めている日本機械学会における規格化活動についても言及する。 |
15:45-16:25 | 講演2 : 「燃料被覆管用酸化物分散強化型フェライト鋼の開発」 高速増殖炉の実用化に向けた炉心・構造材料の開発 (2) - 井上 賢紀
- (独) 日本原子力研究開発機構 次世代原子力システム研究開発部門 FBR要素技術ユニット 炉心・構造材料グループ サブリーダー
高速増殖炉サイクルの経済性向上には燃料の高燃焼度化が重要であり、軽水炉燃料の高燃焼度化と同様に、燃料被覆管材料の開発が成否を握る。軽水炉用燃料被覆管にはジルコニウム合金 (ジルカロイ) が使用されているが、高速増殖炉用には最高700℃と250dpaという高温と重照射の環境に耐える必要があり、最も有力な候補材料として酸化物分散強化型フェライト鋼 (ODS鋼) の開発を進めている。講演では、ODS鋼の開発経緯、合金設計、製造技術、強度特性等を概説するとともに、ODS鋼特有の微細組織構造の解明と制御に関する技術成果を紹介する。特に、ODS鋼には数ナノメートルサイズの酸化物粒子が緻密に分散しており、優れた高温強度特性を発揮している。一方、ODS鋼は内圧に起因する応力を受けるため、結晶粒形態を適切に制御しないと周方向応力に対する強度特性が著しく劣化してしまうため、新たな組織制御技術の開発を必要とした。 |
16:25-16:30 | - 休憩
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16:30-17:10 | 講演3 : 「炉心部構造物材料の変形・破壊挙動に及ぼす原子はじき出しのダイナミックな影響」 - 永川 城正
- (独) 物質・材料研究機構 材料ラボ 格子原子研究グループリーダー
原子炉中で高エネルギー粒子照射下にある材料では結晶原子のはじき出し損傷が生じ、その機械的特性も変化する。特に、はじき出し現象が生じている最中である「照射下」 (炉の運転中) においては、次々と発生した点欠陥 (格子間原子や原子空孔) が常に材料中を動きまわるダイナミックな状態にあり、非照射時だけでなく「照射後」とも機構が根本的に異なる現象が誘発されうる。 物材機構では、高速炉を含む次世代原子炉においてより深刻化すると危惧されている照射下で誘起される著しい塑性変形 (照射下クリープ及び照射誘起応力緩和) ならびに照射下での金属疲労破壊について、サイクロトロン加速器による照射下実験ならびに計算機シミュレーションをもちいた機構解明などの基礎的な研究を進めている。本講演においては、オーステナイト系ならびにフェライト・マルテンサイト系鉄鋼材料に関して得られた成果を紹介する。 |
17:10-17:25 | フリー・ディスカッション (参加者全員で) |
17:25-17:30 | 閉会の挨拶 - 長井 寿
- (独) 物質・材料研究機構 環境・エネルギー領域コーディネーター
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17:40-18:40 | 懇親会 |