超伝導PdTe2に関する共同研究がACS Nanoに掲載されました

20, 2026·
Admin
Admin
news 230

米国ノートルダム大学の研究者らとの共同研究が、ACS Nanoに掲載されました。本研究は吉村さん(Kota Yoshimura)が主導し、小澤と北浦さんが共著しています。吉村さんはNIMSの2D Quantum Materials Groupに短期滞在し、数層PdTe₂の化学気相成長(CVD)を立ち上げました。おめでとうございます。

数層PdTe2における量子閉じ込めによる実効g因子の減少とパウリ限界磁場の上昇

Table of contents graphic. Copyright © 2026 American Chemical Society.

弱結合超伝導の上部臨界磁場は、ゼーマン効果に由来するパウリ限界磁場によって制限され、その値は実効g因子に反比例します。本研究では、数層PdTe₂の面内上部臨界磁場を20 mKまでの温度領域で測定し、膜厚を50 nmから17 nmへ薄くすると、上部臨界磁場が一桁以上増大することを見いだしました。温度・膜厚依存性のモデル解析から、膜厚に依存するスピンゼーマン対破壊機構が明らかになりました。すなわち、量子閉じ込めによってg因子が減少し、その結果パウリ限界磁場が上昇して、観測された上部臨界磁場の増大が可能になっています。

パウリ限界の破れは、しばしば非従来型の対称性をもつ超伝導の兆候と見なされます。本研究は、特に層状物質においては、g因子の情報なしにそのような結論を導くことが難しいことを示しています。

K. Yoshimura, T.-C. Hsieh, H. Ma, D. V. Chichinadze, S. Zou, M. Stuckert, D. Graf, R. Nowell, M. A. Karim, D. Kozawa, R. Kitaura, B. G. Márkus, L. Forró, X. Liu, D. Jin, X. Liu, C. Lewandowski, Y.-T. Hsu, B. A. Assaf, g-Factor-Enhanced Upper Critical Field in Superconducting PdTe₂ due to Quantum Confinement, ACS Nano, 20, 23884–23892 (2026).