文部科学省科学研究費補助金・企画調査シンポジウム
−固体中の光学過程による量子計算の可能性−
平成15年8月18日(月)〜19日(火)
千現地区 第2会議室
(茨城県つくば市千現1丁目2-1)
参加費無料
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Last updated on August 15, 2003
電子や光子,あるいはスピン等の量子もつれを利用する量子計算は,従来の古典的フォン・ノイマン型計算機を凌駕する演算速度が予想されることから,未来技術として大きな期待が寄せられています。これまでに,レーザー冷却されたイオンの電子準位と振動準位の量子もつれ,光共振器中の原子の電子準位と光子数の量子もつれ,あるいは,有機分子の複数の核スピン間の量子もつれ等,量子計算の実現には種々の方式が提案されています。現時点でそれらの優劣を判定することは難しいのですが,モードロックレーザーによる超短光パルスの発生や,複数の波長のレーザー光を用いた複合的な電子系の制御,あるいは,フォトンカウンティング等の高効率検出法の存在を考慮すると,光学的手法も有力候補です。量子計算の実現のためには,少数の原子(あるいは電子,光子,励起子,核スピン等)による量子もつれ状態の生成,量子もつれ状態の時間発展の制御,および,終状態の効率的・高感度な検出が不可欠です。また,量子もつれ状態のユニタリー的時間発展を保証するために,長いコヒーレンス時間も必要です。これらの条件を満たすために,従来の実験研究にはレーザー冷却されたイオン等,熱浴との相互作用を可能な限り排除した特殊環境下のものが多く見られます。しかし,既存のエレクトロニクス技術,とりわけ高度に発達した各種のリソグラフィー技術による集積化の可能性を考慮すると,半導体等の固体中で量子計算を実現することが将来の発展のためには大変重要です。そのためにはQ値の高いマイクロキャビティの実現や,位相緩和時間が長く振動子強度の大きな電子系の探索,あるいは,実現し易い演算方式の探索など,量子計算にとって最も基本的で重要な課題が山積しています。
そこで本シンポジウムでは,「固体中の光学過程を利用した量子計算実現の可能性」に関連する講演を広く募集し,いろいろな角度からこの問題を総合的に検討したいと思います。シンポジウムのテーマを広くとらえて頂き,皆様のご専門の立場からこのテーマにコメントして頂ければ幸いです。ふるってご応募下さい。
第1日(8月18日)
13:30 開会
座長 江崎ひろみ(東京工芸大学
工学部)
13:35 竹内繁樹(北海道大学
電子科学研究所)
「Quantum information
processing using photonic qubits」
14:35 枝松圭一(東北大学
電気通信研究所)
「半導体の励起子分子共鳴ハイパーパラメトリック散乱による
量子もつれ合い光子対の生成」
15:05 小坂英男(東北大学
電気通信研究所)(招待講演)
「量子通信中継器のための光子−電子スピン変換素子」
15:35 休憩
座長 枝松圭一(東北大学
電気通信研究所)
15:55 黒田隆(物質・材料研究機構
ナノマテリアル研究所)
「ナノドット量子状態の光操作と光検知」
16:25 三森康義(通信総合研究所
基礎先端部門)(招待講演)
「量子ドットの光学的ラビ振動」
16:55 高河原俊秀(京都工芸繊維大学
工芸学部)
「単一量子ドットの励起子ラビ振動と励起子位相緩和の理論」
17:25 休憩
座長 黒田隆(物質・材料研究機構
ナノマテリアル研究所)
17:45 末宗幾夫(北海道大学
電子科学研究所)
「自己形成ピラミッド光共振器による電子・光子相互作用の制御」
18:15 野田武司(物質・材料研究機構
ナノマテリアル研究所)(招待講演)
「液滴エピタキシィ法による半導体量子ドットの形成」
18:45 懇親会
第2日(8月19日)
座長 小坂英男(東北大学
電気通信研究所)
9:00 大野裕三(東北大学
電気通信研究所)(招待講演)
「III-V族半導体量子構造におけるスピンダイナミクス」
9:30 後藤敦(物質・材料研究機構
ナノマテリアル研究所)(招待講演)
「光ポンピング効果による核スピンの初期化」
10:00 ポスターセッション
座長 竹内繁樹(北海道大学
電子科学研究所)
11:00 宮本洋子(電気通信大学
情報通信工学科)
「光の軌道角運動量と量子情報」
11:30 萩行正憲(大阪大学
超伝導フォトニクス研究センター)
「レーザー励起によるテラヘルツ波の発生・検出の現状と量子計算」
12:00 迫田和彰(物質・材料研究機構
ナノマテリアル研究所)
「輻射場制御と光学的量子計算」
12:30 昼食休憩
座長 宮本洋子(電気通信大学
情報通信工学科)
13:30 白田耕藏(電気通信大学
量子・物質工学科)(招待講演)
「固体水素の非線形光学:量子情報との接点は?
14:00 大槻幸義(東北大学大学
院理学研究科)
「分子内量子干渉最適制御に対する非マルコフ緩和効果」
14:30 安食博志(大阪大学大学院
基礎工学研究科)
「キャビティ中の二準位系における非線形位相シフト」
15:00 閉会
ポスター発表
・Fam Le Kien, Anil K. Patnaik
and K. Hakuta(電気通信大学 量子・物質工学科)
「Multiorder coherent Raman
scattering of a quantum probe field」
・Anil K. Patnaik, J. Q. Liang,
K. Kuroda and K. Hakuta(電気通信大学 量子・物質工学科)
「Engineering the Dispersion
of a Fiber Mode via Atomic/Molecular Coherence」
・宮本洋子(電気通信大学 情報通信工学科)
「非点収差による光の位相特異点の反転と軌道角運動量の保存」
オークラフロンティアホテルつくば
ホテルグランド東雲
つくばデイリーイン
迫田和彰(サコダ・カズアキ)
〒305-0003 つくば市桜3-13
物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所
電話 029-863-5408
Fax 029-863-5599
電子メール SAKODA.Kazuaki@nims.go.jp