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Bragg反射

図1 3次元結晶は2次元粒子層の
積層と見なせる

コロイド結晶というのは、粒子が3次元的に周期配列したものですが、それは、2次元平面状の粒子層を等間隔で積層したものと見なすことができます(図1)。この粒子層が作る平面は格子面(結晶格子がつくる面という意味)と呼ばれます。

このような3次元の周期構造体に光を照射すると、結晶が持つ特定の格子面の集団が、あたかも鏡のように特定の波長の光だけを反射する現象が起こります。この反射は、格子面一枚による反射ではなく、積層した格子面群による反射の足し合わせによる、総合的な効果です。これをBragg反射と言います。ここでBraggは人の名前です。

隣り合う格子面により反射される光は、異なる長さの経路を通ります。このときの経路の差は幾何学的作図により 2dsinθ に等しくなることがわかります(図2)。ここで、dは格子面の間隔で、θは光の入射角です(反射角もθ)。経路の差に屈折率nを掛けると光の感じる実効の経路差(つまり光路差)になります。一般に、光路差が波長の整数倍に等しい光が重なったときには、強め合う干渉が起こり、その方向に強い光が観測されます。これがBragg反射の正体です。その干渉条件は、mを任意の整数として、一般に、次のように書けます。 (mは反射の次数と呼ばれ、m=1のケースを議論することが多い)

mλ=2ndsinθ (この条件をBragg条件と呼ぶ)

Bragg反射の概念は、元々、通常の結晶によるX線の反射について考えられたものですが、コロイド結晶でも同等の現象が光の反射に対して起こっているので、同じくBragg反射と呼んでいます。

図2 隣り合う格子面による反射光の経路差

(注)上記の屈折率というのは、実は曲者です。この屈折率は何の屈折率でしょうか。粒子でしょうかそれとも粒子間の物質でしょうか。実はこの疑問は、フォトニックバンド理論を紐解かなくては答えることができません。ここでは、上記の屈折率nは、通常のコロイド結晶では、粒子と粒子間の物質の体積平均の屈折率で近似的に与えられるとだけ申し上げておきます。


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