Franz J. Giessibl氏は、世界で初めて非接触型の原子間力顕微鏡による原子分解能を1995年に達成しました。その後、自己検出型フォースセンサーであるチューニングフォークセンサー(qPlus Sensor)を開発して、非接触原子間力顕微鏡の可能性を飛躍的に高めました。非接触原子間力顕微鏡では、試料表面近くで探針を振動させ、試料表面と探針との間に働く微小な力を検知します。
qPlus Sensorは、それまで使われていたカンチレバー型センサーと比べて、非常に高いばね定数を有しており、カンチレバー型センサーでは到達できなかった数十ピコメートルまで小さくした振幅で短距離力を高感度で検知する事を可能にしました。これにより、原子レベルのコントラストを飛躍的に向上させました。また、自己検出型であるqPlus Sensorを用いて、カンチレバー型センサーでは困難を伴う極低温動作の走査型プローブ顕微鏡を開発するとともに、高分解能計測に必要な理論も提唱しました。氏はこれらの開発研究の有意性を数多くのナノ材料研究を通じて実証してきました。