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物質・材料研究の『使える!メールマガジン』
臨時増刊号
2024.10.23
NIMS Award Symposium 2024 マテリアル革新力強化をもたらす最先端計測 INNOVATION CHARACTERIZATION
2024.11.6(水)・7(木) つくば国際会議場中ホール300 入場無料
NIMS Award Symposium 2024
国際賞「NIMS Award」の受賞者の功績を称える場であり、関連する分野の著名な研究者が一堂に会する「NIMS Award シンポジウム」。

本年のNIMS Awardは「透過電子顕微鏡法の革新による材料界面研究への貢献」の功績により幾原雄一特別研究教授、そして「非接触原子間力顕微鏡法の革新によるナノ材料研究への貢献」の功績によりFranz J. Giessibl教授の2名を選出いたしました。

今回のメルマガでは、お二人の受賞理由をご紹介したいと思います。
 
NIMS Award 2024 受賞者
幾原 雄一 教授 幾原 雄一 特別研究教授
東京大学大学院工学系研究科 総合研究機構
透過電子顕微鏡法の革新による
材料界面研究への貢献

研究成果の概要
 幾原雄一氏は、透過電子顕微鏡法(TEM)を用いた材料解析・評価法の可能性を拡大する装置・手法を開発しながら、長年にわたり、粒界や界面の原子構造、電子状態、微量元素の高分解能計測手法の発展を先導してきました。また、エネルギー分散型X線分光法や電子エネルギー損失分光法による化学組成・状態計測や第一原理計算による理論解析を組み合わせ、材料の粒界・界面、転位の定量評価法を確立しました。さらに、電子顕微鏡メーカーと共同で、新しい球面収差補正器を搭載した300kVの電子顕微鏡の開発、走査透過電子顕微鏡法(STEM)の環状暗視野像で世界最高空間分解能の達成、従来手法では見ることの難しかった軽元素を観察できる環状明視野-STEMを開発して水素やリチウム等の観察を実現する等多くの功績を挙げてきました。これら革新的電子顕微鏡法と装置の開発、およびそれらを用いた粒界・界面の解析は、セラミックスをはじめとする材料の機能発現の様々なメカニズム解明につながっており、材料科学に大きな貢献をされました。
業績の学術界・産業界への波及
 幾原雄一氏の業績は、透過電子顕微鏡における革新的材料計測手法と装置の開発、粒界・界面構造の解明の2つの側面から材料科学に大きな影響を与えました。 世界最高空間分解能を有するSTEM装置、環状明視野-STEM検出器等は、市販されて革新的電子顕微鏡および関連装置として世界に広く普及しています。また、これらの革新的電子顕微鏡法をセラミックス、電池、触媒、半導体、磁性等の幅広い材料に応用した研究では、材料の粒界・界面に関する新たな知見が数多く見出され、新規材料の設計指針の構築や新規材料の創出につながっています。
 
 
フランツ J. ギーシブル 教授 Franz J. Giessibl 教授
レーゲンスブルク大学(ドイツ)
非接触原子間力顕微鏡法の革新による
ナノ材料研究への貢献

研究成果の概要
 Franz J. Giessibl氏は、世界で初めて非接触型の原子間力顕微鏡による原子分解能を1995年に達成しました。その後、自己検出型フォースセンサーであるチューニングフォークセンサー(qPlus Sensor)を開発して、非接触原子間力顕微鏡の可能性を飛躍的に高めました。非接触原子間力顕微鏡では、試料表面近くで探針を振動させ、試料表面と探針との間に働く微小な力を検知します。
qPlus Sensorは、それまで使われていたカンチレバー型センサーと比べて、非常に高いばね定数を有しており、カンチレバー型センサーでは到達できなかった数十ピコメートルまで小さくした振幅で短距離力を高感度で検知する事を可能にしました。これにより、原子レベルのコントラストを飛躍的に向上させました。また、自己検出型であるqPlus Sensorを用いて、カンチレバー型センサーでは困難を伴う極低温動作の走査型プローブ顕微鏡を開発するとともに、高分解能計測に必要な理論も提唱しました。氏はこれらの開発研究の有意性を数多くのナノ材料研究を通じて実証してきました。
業績の学術界・産業界への波及
 受賞者が開発したqPlus Sensorを用いた原子間力顕微鏡は世界各国で市販化され、500台以上販売されてきました。極低温・超高真空で動作する原子間力顕微鏡では、ほぼ全ての装置にqPlus Sensorが導入されています。それらの装置を用いて表面科学・表面物理・表面化学などの学術分野が大きく展開しました。特に、qPlus Sensorの活用によって初めて分子の内部骨格が観察できるようになったことで、qPlus Sensorを導入した極低温の原子間力顕微鏡は表面化学には必須の装置となっています。
 



11月6日、7日に行われるNIMS Award シンポジウムでは、前述のNIMS Award 受賞者による受賞記念講演が行われるほか、世界的に著名な研究者たちによる、電子顕微鏡、プローブ顕微鏡、放射光など様々な計測技術に関する講演が行われます。

「世界最先端の計測技術を知りたい」「計測技術の最前線を学びたい」「計測で悩んでいる」という方は、ぜひ NIMS Award シンポジウムにご参加ください!
参加登録はこちらから
概要
イベント名 NIMS Award シンポジウム 2024(特設サイトはこちら
開催日時 2024年11月6日(水): 10:00 - 19:30
2024年11月7日(木): 10:00 - 18:30
内容 NIMS Award授賞式
受賞記念講演
世界トップレベルの研究者による特別講演多数
若手研究者によるポスター発表
NIMS Award 受賞記念レセプション
開催場所 つくば国際会議場
https://www.epochal.or.jp/
言語 英語
入場料 無料
参加登録 参加登録フォーム
企業関係者、大学院生、大学生の参加も歓迎いたします。
 
 
お問い合わせ
NIMS Award 事務局      nims-award@nims.go.jp

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