2050年までに世界的な資源制約の壁

各種金属資源の将来消費予測を実施、 消費量が2050年までに現有埋蔵量の数倍を超えてしまう金属が多数あることを指摘

2007.02.15


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMS材料ラボの原田 幸明 ラボ長は、これまでの金属使用量と経済成長の関連の解析をもとに、累積金属使用量の予測を行なった結果、2050年までに多種の金属が現有埋蔵量ではまかないきれず、中には埋蔵量の数倍の使用量が予想される金属もあることがわかった。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 、材料ラボの原田 幸明 ラボ長は、これまでの金属の使用量と経済成長の関連の解析をもとに、成長過程にありこれから大幅な金属の使用が予想されるBRICs諸国を中心に2050までの累積金属使用量の予測を行なった。その結果、2050年までに多くの種類の金属が現有の埋蔵量ではまかないきれなくなり、中には埋蔵量の数倍の使用量が予想される金属もあることがわかった。
  2. 2050年までの累積で現有埋蔵量の数倍の使用量が予想される金属は、銅、鉛、亜鉛、金、銀、錫、ニッケル、マンガン、アンチモン、リチウム、インジウム、ガリウムである。このうち、銅、鉛、亜鉛、錫、金は経済成長がある段階に達すると一人当たりGDPの増加に対して減少する傾向が現れているが、それでもBRICs諸国の使用量の増大は大きく現有埋蔵量を突破してしまう。
  3. 銅、鉛、亜鉛、金、銀、錫、ニッケル、アンチモン、インジウムは埋蔵量ベースと呼ばれる技術的には採掘可能だが経済的理由などで採掘対象とされていない資源の量までも超過してしまう。
  4. 特に、金、銀、鉛、錫の累積使用量は2020年の時点で現有埋蔵量を超えることが予想される。
  5. 資源が比較的豊富とみなされている鉄や白金についても、2050年までには、白金は現有埋蔵量を超過し、鉄も現有埋蔵量に匹敵する量の消費が予想される。また、モリブデン、タングステン、コバルト、パラジウムも現有埋蔵量を超過した累積消費が予想される。
  6. この結果は、3月2日に行なわれる「NIMS元素戦略シンポジウムⅠ:希少元素全面代替に向けた材料科学の挑戦 - ラティス・エンジニアリングに基づく材料開発 - 」(主催: 物質・材料研究機構)で紹介される。またその一部は2月16日に開催される「元素戦略/希少金属代替材料開発」府省連携シンポ(主催:元素戦略/希少金属代替材料開発 合同戦略会議、共催: 内閣府、文部科学省、経済産業省)においても触れられる。

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プレス資料中の図1: 金属消費とGDPの関係の4つのパターン



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