ホーム > ニュース・プレス > プレスリリース > 2006年 > 超高温高圧法による新規リチウムマンガン酸化物の合成に成功

超高温高圧法による新規リチウムマンガン酸化物の合成に成功

リチウムイオン二次電池正極材料探索に新手法

独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSナノ物質ラボは、ナノスケール物質センターと共同で、超高温高圧法による新規トンネル構造型リチウムマンガン酸化物の合成に成功した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) ナノ物質ラボ (ラボ長 : 室町 英治) 新物質発掘グループの室町 英治 グループリーダー、山浦 一成 主任研究員は、ナノスケール物質センター (センター長 : 佐々木 高義) ソフトイオニクスグループの高田 和典 グループリーダーと共同で、超高温高圧法による新規トンネル構造型リチウムマンガン酸化物の合成に成功した。
  2. 現在の主流であるリチウムコバルト酸化物 (化学組成式 : LiCoO2) を正極材料とするリチウムイオン二次電池は、それまで普及していたニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池に比べると格段に小型、軽量、高電圧であるが、コバルト原料の資源量および価格高騰の問題や、将来の需要増、ハイブリッドカーやモバイルデータ通信量の増加など大規模化へ対応するためには、高性能次世代リチウムイオン二次電池の確立は急務であり、現在世界中でその特性を大きく左右する正極および負極材料の開発が進められている。
  3. マンガン系二次電池材料は、コバルト系やニッケル系に比べて低コストであること、環境負荷が小さいこと、充電時の安全性が高いことが特に着目され、次世代正極材料として注目されている。当機構では、スピネル構造型リチウムマンガン酸化物 (化学組成式 : LiMn2O4) を超高温高圧法で熱処理することによって、それを世界で始めてトンネル構造型に転移させることに成功した。
    トンネル構造内では、リチウムイオンが母構造をしっかりと保ったままスムーズに移動すること (すなわち優れたサイクル特性) が期待されるが、従来の手法や物質では出発原料であるナトリウムイオン等がトンネル中に残存するため、良好なリチウムイオン伝導が阻害されてしまうことが問題であった。本手法ではナトリウムイオン等を使用しないため、残留物をトンネル内にまったく含まないトンネル構造型リチウムマンガン酸化物の合成に成功した。
  4. 現在のところリチウムイオン伝導特性はまだ低いレベルにあるが、本成果は超高温高圧法が新規正極材料開発に有効であることを具体的に示した点で有意義である。今後この方法を用いた研究が進展することによって二次電池正極材料開発の新展開が期待できる。
    今回の成果は、米国化学会が発行する学術論文誌Journal of the American Chemical Societyに掲載される予定である。また、本成果は、7月31~8月3日にバルセロナにて開催される高圧半導体物理国際会議2006でも紹介される予定である。

「プレス資料中の図: スピネル構造型リチウムマンガン酸化物 (左) を超高温高圧下で熱処理することによって、トンネル構造型 (右) に転移させることに成功した。トンネル型では紙面に向かって垂直方向にそのトンネル (白い多角形部分) が延びる強い1次元的構造異方性を有する。」の画像

プレス資料中の図: スピネル構造型リチウムマンガン酸化物 (左) を超高温高圧下で熱処理することによって、トンネル構造型 (右) に転移させることに成功した。トンネル型では紙面に向かって垂直方向にそのトンネル (白い多角形部分) が延びる強い1次元的構造異方性を有する。




お問い合わせ先

研究内容に関すること
独立行政法人物質・材料研究機構
ナノ物質ラボ 主任研究員
山浦 一成 (やまうら かずなり)
TEL: 029-860-4658
FAX: 029-860-4674
E-Mail: YAMAURA.Kazunari=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
ナノ物質ラボ ラボ長
室町 英治 (むろまち えいじ)
E-Mail: MUROMACHI.Eiji=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
報道担当
独立行政法人物質・材料研究機構 
国際・広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2026
Get ADOBE® READER®

PDFファイルの閲覧には、Adobe® Readerが必要です。