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タンパク質を捕まえる濾紙

ピコモル濃度のタンパク質を簡便に検出することに成功

独立行政法人物質・材料研究機構

NIMS ナノ有機センターは理化学研究所と共同し、タンパク質を効率的に捕捉するセルロースの開発に成功した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) ナノ有機センター (センター長 : 一ノ瀬 泉) 機能膜グループの一ノ瀬 泉グループリーダー、黄 建国 (Huang Jianguo) 研究員は、理化学研究所 (理事長 : 野依 良治) フロンティア研究システム (システム長 : 玉尾 皓平) 時空間機能材料研究グループの国武 豊喜グループディレクターと共同し、タンパク質を効率的に捕捉するセルロースの開発に成功した。
  2. 木材や紙、綿などの主要な構成成分であるセルロースは、地球上で最も存在量が多い天然高分子であり、衣類や食品、トイレットペーパーや生分解性プラスチックなど、我々の日常生活とも関わりが深い高分子材料である。セルロースでは、グルコースの 直鎖状高分子が集まってナノファイバーを形成し、ナノファイバーが集まってマイクロファイバーを形成し、このマイクロファイバーから網目状に絡み合ったセ ルロース繊維が形成される。このような階層構造を有するセルロースは、丈夫で柔らかく、高い吸湿性を示し、かつ環境にも優しい天然高分子である。近年、再 生可能な資源の活用、あるいは医療やヘルスケアに貢献する新材料の開発に向けて、セルロースの高機能化に大きな期待が寄せられていた。
  3. セルロース繊維の最小の構成要素は、直径が数10ナノメートルのファイバーである。黄研究員らは、今回、このような極細のナノファイバーを壊すことなく、 その表面に高密度かつ均一に生体分子をコーティングすることに世界で初めて成功した。この技術の開発により、特定のタンパク質を効率的に吸着させることが 可能となった。階層的な構造をもつセルロースでは、比表面積が著しく大きく、単位体積当たりに形成される吸着 (分子認識) 部位の数が極めて大きくなる。このため、今回の実験では、ピコモル濃度のタンパク質を容易に検出することが可能であった。 
  4. 本技術は、セルロースにバイオ機能を付与する一般的な手法や透過選択性に優れた高性能のフィルターを製造する技術として、幅広く活用されることが期待される。今回の成果は、平成18年4月28日にAngewandte Chemie International Editionに掲載された。また、本成果は、7月25-27日にパシフィコ横浜にて開催されるオルガテクノ2006 (有機テクノロジー展示会&国際会議) でも紹介される予定である。


「プレス資料中の図 : セルロースのナノファイバーへのビオチンとストレプトアビジンの固定化、ならびにビオチン化した分子の結合 (模式図)」の画像

プレス資料中の図 : セルロースのナノファイバーへのビオチンとストレプトアビジンの固定化、ならびにビオチン化した分子の結合 (模式図)




お問い合わせ先

研究内容に関すること
独立行政法人物質・材料研究機構
ナノ有機センター
センター長 
一ノ瀬 泉 (いちのせ いずみ)
または、
研究員 黄 建国 (ふぁん じゃんご)
TEL : 029-851-3354 (内線8326)
FAX : 029-852-7449
E-Mail:電子メールアドレス
報道担当
独立行政法人物質・材料研究機構 
広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017
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