白色LED用の青色蛍光体の開発に成功

太陽光に近い自然な照明が実現

2006.03.16


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSの物質研究所 非酸化物焼結体グループは、白色発光ダイオード向けの新たな青色蛍光体の合成に成功した。すでに開発した赤色、黄色、緑色の蛍光体と合わせて、光の三原色である赤、緑、青と発色調整に有用な黄色がそろったことにより様々な発色のLEDを提供することが可能となった。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 物質研究所 (所長 : 室町 英治) 非酸化物焼結体グループの広崎 尚登 主席研究員は、白色発光ダイオード (LED) 向けの新たな青色蛍光体の合成に成功した。すでに開発した赤色、黄色、緑色の蛍光体と合わせて、光の三原色である赤、緑、青と発色調整に有用な黄色がそろったことにより様々な発色のLEDを提供することが可能となった。405nmの光を放つ紫LEDと、これら4色の蛍光体を組み合わせることにより以前発表済み (平成17年3月23日) のものよりさらに自然な発色 (演色性) の白色LEDの試作に成功した。
  2. 現在の照明は蛍光灯が主流であるが、蛍光灯に比べてLEDは「消費電力3割減」「水銀を使用しない」といった環境面からも、将来は全てLEDに置き換わると予想される。しかし、現行のLEDは青色と黄色の光を混ぜて発光していたため、緑色と赤色の成分が欠如した不自然な光になっていた。そのため、自然な発色が求められる商店の商品照明や食卓などの屋内照明には不適当であり、自然な光を放つ照明用LEDが必要とされていた。白色LEDの演色性を改善する手法として、405nmの紫LEDと赤、緑、青の3種類の蛍光体を組み合わせる方法が提案されているが、既存の蛍光体は紫光をあてても発光効率が悪いという問題があり、発光強度の高い蛍光体の実現が待ち望まれていた。
  3. 開発した青色蛍光体は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ランタン、酸化セリウム粉末を混合させ、その後窒化ホウ素製のるつぼに入れて窒素中10気圧、1900℃で反応させて作製した紫LEDとの組み合わせに適したものである。合成した粉末はCeを含む酸窒化物結晶であり、化学的安定性や耐久性に優れている。
  4. シャープ (株) の協力の下、機構が既に開発した赤色、黄色、緑色蛍光体に加えて、本青色蛍光体を使用したところ、青、緑、黄、赤の4色をバランス良く含む太陽光に近い自然な白色の光を放つ事が可能になり、色再現性の指標である演色性Ra値が96を越える自然な照明装置を試作することに成功した。
  5. この成果は3月22日から東京都の武蔵工業大学で開催される第53回応用物理学関係連合講演会で発表の予定である。

「プレス資料中の図: 今回発表の酸窒化物青色蛍光体の発光特性」の画像

プレス資料中の図: 今回発表の酸窒化物青色蛍光体の発光特性



お問い合わせ先

研究内容に関すること

独立行政法人物質・材料研究機構
物質研究所
非酸化物焼結体グループ 主席研究員
広崎 尚登 (ひろさき なおと)
TEL: 029-860-4479 (ダイヤルイン)
E-Mail: HIROSAKI.Naoto=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

報道担当

独立行政法人物質・材料研究機構 
広報室
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FAX:029-859-2017

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