ダイヤモンド紫外線センサーを用いた火災検知システムの開発に成功

煙や熱探知より迅速に火災を発見できる火災警報システムを実現

2006.03.14


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMS物質研究所 スーパーダイヤグループの小出 康夫 主席研究員、Meiyong Liao 特別研究員は、電子機器開発ベンチャーの (株) アンテックと共同で、ダイヤモンド紫外線センサーを用いた火災検知システムの開発に世界で初めて成功した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 、物質研究所 (所長 : 室町 英治) 、スーパーダイヤグループの小出 康夫 主席研究員、Meiyong Liao 特別研究員は、電子機器開発ベンチャーの (株) アンテック (代表取締役 : 末石 建二) と共同で、ダイヤモンド紫外線センサーを用いた火災検知システムの開発に世界で初めて成功した。
  2. 平成18年6月からの改正消防法の施工に伴い、新築住宅においても火災警報器の設置が義務付けられ、火災をより迅速に検知し警報する新システムの開発は、極めて重要な研究課題の一つとなっている。
  3. 今回開発した火災検知システムは、当機構において開発したダイヤモンド紫外線センサー素子 (平成17年2月24日プレス発表済み) を火災センサーとして用い、 (株) アンテックが持つ太陽光の影響を受けない信号処理技術とワイアレス通信技術を用いて、センサー部と警報部から構成されている。センサー部は9Vの乾電池1本で駆動されており、長い寿命を持つ。ダイヤモンド紫外線センサーの低消費電力性の特徴が発揮されている。
  4. 現在火災センサーとしては真空管式の光電管が実用化されているが、駆動に300V以上の高電圧が必要なため消費電力が大きく、またそのサイズが大きく衝撃に対しても弱かった。今回開発したダイヤモンド紫外線センサー素子は、直径9mm、高さ5mmとコンパクトであり、衝撃にも強い。また、将来の一般家庭への普及を視野にいれ、火災検知システムは、センサー部で検出した火災情報を赤外線通信によって迅速に警報部に送り、警報音や警報ランプを発するシステム構成となっている。
  5. 今日火災による死者数の90%は住宅火災であり、その50%以上が65歳以上の高齢者で、逃げ遅れが主な原因となっている。火災を早期に発見することが、安全上極めて重要である。紫外線検知方式の火災センサーはまったく新しい技術方式であるが、初期出火の段階で熱・煙検知によるセンターに比べても迅速に出火を発見することが可能であり、これからの大きな利用が期待できる。 今後はダイヤモンド紫外線センサーの感度を更に向上させ、量産技術を検討することによって実用化を目指す。

「開発した火災検知システムの全体写真」の画像

開発した火災検知システムの全体写真



お問い合わせ先

研究内容に関すること

独立行政法人物質・材料研究機構
物質研究所スーパーダイヤグループ
主席研究員
小出 康夫 (こいで やすお)

TEL: 029-860-4311 (ダイヤルイン)
FAX: 029-851-4005
E-Mail: KOIDE.Yasuo=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

報道担当

独立行政法人物質・材料研究機構 
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