形が変わるフラーレン

あらゆる形のナノテク部品を自由自在に作り出す !

2005.11.21


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSの物質研究所 超分子グループは、炭素系ナノ材料であるフラーレン1) を用いて数十ナノメートルからミクロンサイズの多様な形のナノ素材を自由自在に作製できる技術を発見した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 物質研究所 (所長 : 室町 英治) 超分子グループの中西 尚志 研究員および有賀 克彦 ディレクターらは、炭素系ナノ材料であるフラーレンを用いて数十ナノメートルからミクロンサイズの多様な形のナノ素材 (球状、ファイバー状、ディスク状、コーン状) を自由自在に作製できる技術を発見した。
  2. フラーレンは、カーボンナノチューブなどと共に電子材料から医療材料まで様々な応用が期待されており、リソグラフィー法、自己組織化法という微細加工の手法を用いて自由な形を作成することが研究されているが、小さな構造が作成できない、特定のフラーレンを個別に合成しなければならない、といった問題を抱えていた。
  3. 今回開発した手法では、ある1つのフラーレンを用いて簡単な方法で様々な形の素材を自由自在に作る画期的な手法であり、その結果として「球状 (カプセル) 」「ワイヤー状 (電線) 」「ディスク状 (コンデンサー) 」「コーン状 (電極) 」といった特殊な形状を、溶媒を変えるだけで得ることが可能となった。
  4. また、本開発手法により得られた構造は、それぞれフラーレン (球状、0次元) 、カーボンナノチューブ (ファイバー、1次元) 、高配向グラファイト (シート状、2次元) 、カーボンナノホーン (コーン状、3次元) に対応しており、同一フラーレン分子から次元を完全にコントロールして、多様な構造を作り出せるところに本手法の新規性・重要性があると言える。
  5. フラーレンは電気を通す性質を持っているため、本手法により作成したナノ素材は十億分の一メートル規模の電子回路部品、触媒の担体、燃料電池の電極などに用いることが可能である。
  6. また、本手法は非常にシンプルなため、有機合成を専門としていない様々な分野の研究者も活用できる可能性があり、波及効果としてフラーレンを用いた実用素材の研究が進むことが期待される。

「得られたナノ素材。上段左から球状、ファイバー状、下段左からディスク状、コーン状。全て一種類のフラーレンからできている。」の画像

得られたナノ素材。上段左から球状、ファイバー状、下段左からディスク状、コーン状。全て一種類のフラーレンからできている。




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研究内容に関すること

独立行政法人物質・材料研究機構
物質研究所 超分子グループ
中西 尚志 (なかにし たかし)
TEL : 029-860-4740
E-Mail: NAKANISHI.Takashi=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
物質研究所 超分子グループ
有賀 克彦 (ありが かつひこ)
TEL : 029-860-4597
E-Mail: ARIGA.Katsuhiko=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

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