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生体外において自由な形で軟骨を「再生」することに成功

ヘルニア・リウマチなどの軟骨損傷に対し個人毎に対応可能に

独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSの生体材料研究センター 医工連携チームは、ウサギの骨髄細胞から大型軟骨組織を生体外で構築することに成功した (既発表) が、今回、コラーゲンスポンジを細胞足場材料として用いたところ、組織の形状の制御やより強度の高い組織構築に関し、きわめて良好な成績を得た。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 生体材料研究センター (センター長 : 田中 順三) 医工連携チームの植村 寿公 客員研究員 (産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門主任研究員 併任) および大藪 淑美 特別研究員 (医工連携チーム) らは、微少重力を発生させる特殊な回転培養装置 (RWVバイオリアクター) を利用して、ウサギの骨髄細胞から大型軟骨組織を生体外で構築することに成功した (既発表) が、今回、コラーゲンスポンジを細胞足場材料として用いたところ、組織の形状の制御やより強度の高い組織構築に関し、きわめて良好な成績を得た。
  2. 近年、自己細胞から生体組織を再生する「再生医療」が急速に進歩しつつあり、臨床応用が近いとされる硬組織 (骨・軟骨など) の再生が注目されている。しかし臨床応用が近いと言っても多くの乗り越えるべき困難がある。軟骨においては、通常の2次元培養法では大型の移植可能な軟骨組織を構築することが困難で3次元培養による組織構築が必須であり、臨床現場に持ち込めるバイオリアクターの開発が望まれていた。特に軟骨などは、欠損に応じて形状を制御する必要があり、細胞足場材料を駆使した技術開発が望まれていた。
  3. 今回開発した方法は、模擬微小重力環境において細胞を培養液中に自由に浮かせ、ゆっくりと集合させて3次元組織を形成させる回転培養法を用いている (図2) 。本装置を用いてウサギ骨髄細胞から大型軟骨組織を構築する技術を開発したが、形状の制御が難しく、また組織内部のむらがあるなどの問題点があった。均質な成形可能な軟骨構築を行うために、様々な細胞足場材料 (スキャホールド) を試したところ、コラーゲンスポンジが有効で、形状の制御とともに均質な軟骨組織、そして培養短期間で十分な力学的強度を得ることが分かった。この結果は臨床応用への可能性を大きく広げるものである。
  4. 今後はサル、そしてヒト細胞を用いた臨床応用を目指した研究を予定しており、ヒト細胞で十分な成績、そして安全性を得ることができれば変形性関節症やリウマチなどで軟骨を広範囲に損傷した患者への臨床応用が可能である。特にヒト細胞においては、患者の性、年齢、疾患により組織構築のための条件が異なる可能性があり、本技術により患者一人一人にあったテーラーメード再生医療技術の確立も進むことが期待される。

「図1 RWVバイオリアクター」の画像

図1 RWVバイオリアクター


「図3 コラーゲンスポンジの有無  (上 : 無、下 : 有、5mm×5mm×10mm) による軟骨組織の外形 (移植2週後)」の画像

図3 コラーゲンスポンジの有無 (上 : 無、下 : 有、5mm×5mm×10mm) による軟骨組織の外形 (移植2週後)





お問い合わせ先

研究内容に関すること
独立行政法人物質・材料研究機構
生体材料研究センター
医工連携チーム
独立行政法人産業技術総合研究所
ナノテクノロジー研究部門ナノバイオメディカルテクノロジーグループ
植村 寿公 (うえむら としまさ)
TEL: 029-861-2724
FAX: 029-861-2789

※植村の所属は上記2機関。TEL,FAXにつきましては所属2の番号。
独立行政法人物質・材料研究機構
生体材料研究センター
センター長
田中 順三 (たなか じゅんぞう)
TEL: 029-851-3354 (内) 4490
FAX: 029-860-4714
E-Mail: TANAKA.Junzo=nims.gp.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
報道担当
独立行政法人物質・材料研究機構 
広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL:029-859-2026
FAX:029-859-2017

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