熱安定な太陽光ブラインド紫外線センサーの開発に成功

太陽の下でも炎や有害物質を検出できる固体素子型センサーの実現

2005.02.24


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSの物質研究所 スーパーダイヤグループは、太陽光の存在する日中においても波長190~260nmの深紫外線のみを検知し、極めて熱安定で低電圧駆動する「太陽光ブラインド紫外線センサー」の開発に成功した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 物質研究所 (所長 : 室町 英治) スーパーダイヤグループ (ディレクター : 神田 久生) の小出 康夫 主席研究員らは、太陽光の存在する日中においても波長190~260nmの深紫外線のみを検知し、極めて熱安定で低電圧駆動する「太陽光ブラインド紫外線センサー」の開発に成功した。
  2. 地球環境問題への対応および安全・安心の保証のため、炎や有害物質などを探知するセンサー開発は極めて重要な研究課題になっている。
  3. 今回作製した紫外線センサーは高品質なダイヤモンド半導体のエピタキシャル単結晶層と新たに開発した極めて耐熱性に優れる高融点金属カーバイド電極から構成される。性能は固体素子型の太陽光ブラインド紫外線センサーとしては世界最高水準であり、更に550℃で3時間の熱処理を行っても受光感度性能を保持できる熱安定性、既存のセンサーに比べ小型で消費電力が少なく、寿命が長いという特徴も持つ。
  4. 今まで深紫外線のみに応答することのできるセンサーは光電管が実用化されているが、駆動に300V以上の高電圧が必要でありサイズも大きく重たかった。また、従来の固体素子型の紫外線センサーとしてはⅢ族窒化物半導体を用いたものの方が性能的に優れていたが、今回の高性能ダイヤモンド紫外線センサーではこれを一部で凌駕する性能を発揮することを明らかにした。これにより、新たにダイヤモンド半導体が熱安定な太陽光ブラインド紫外線センサーとして実用化できる可能性を実証した点で画期的である。
  5. 本センサーは火災・煙草探知機のセンサー部分、また家庭用燃焼機器や工業炉における燃焼炎の自動制御用センサー等に使用することが期待される。更に今回達成した熱安定性は画期的であり、ガソリン及びタービンエンジン内の高温燃焼炎のセンシングにも応用できる可能性を新たに開いた。
    また、次世代超LSI (大規模集積回路) の作製に使われる紫外線露光装置において、長時間の深紫外線照射に対しても高温劣化しない安定な紫外線センサーとしての応用の可能性をも開いたと言える。
    今後は雑音性能や応答速度、熱安定性や信頼性を更に向上させることによって実用化を目指す。

「図1 開発した太陽光ブラインド紫外線センサーの概略図。」の画像

図1 開発した太陽光ブラインド紫外線センサーの概略図。


「図3 開発した太陽光ブラインド紫外線センサーの受光感度特性。」の画像

図3 開発した太陽光ブラインド紫外線センサーの受光感度特性。



お問い合わせ先

研究内容に関すること

独立行政法人物質・材料研究機構
物質研究所スーパーダイヤグループ
主席研究員
小出 康夫 (こいで やすお)
TEL: 029-860-4311 (ダイヤルイン)
FAX: 029-851-4005
E-Mail: KOIDE.Yasuo=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

報道担当

独立行政法人物質・材料研究機構 
広報室
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