理事長の交代のお知らせ

2022.04.01


6年間にわたり理事長を務めてまいりました橋本 和仁は、2022年3月31日付けをもって退任し、4月1日付けで宝野 和博が新理事長に就任しましたので、お知らせ致します。

新理事長就任挨拶

 

前理事長退任挨拶

「前NIMS理事長 : 橋本 和仁」の画像

前NIMS理事長 : 橋本 和仁


2022年3月31日をもって、6年3カ月務めましたNIMS理事長の職を退任いたしました。当初の任期を1年間残しておりましたが、来年度から始まる次期中長期計画は新たな理事長の責任において策定すべきものとの思いから辞任を申し出、ご了解いただきました。この間、NIMS内外の多くの方のご支援をいただきました。心よりお礼申し上げます。

国立研究開発法人の使命は“優れた研究成果をもって社会に貢献すること”です。そのためには研究者が個々の研究力を高めること、および組織がチームとしての研究力を高めること、この両方が重要であるとの考えを基礎としてNIMSの運営に当たってきました。職員の理解もあり、その具体的成果が表れてきたと思います。

例えば、研究力の目安となる論文発表数は、現・中長期計画実施直前の2015年度で1222報だったのが、2021年度はすでに1564報に達しています (2022年3月31日時点での集計値) 。また、NIMSの論文1報当たりの被引用数は、国内の国研・大学の中では圧倒的に高い数値であり、さらに世界トップのレベルであるケンブリッジ大学、カリフォルニア工科大学、マサチューセッツ工科大学などにも比肩するものとなっています。

一方、組織的研究活動においても二次電池や液体水素関連、マテリアルズ・インフォマティクスなど様々な分野でNIMSは次々と大型国家プロジェクトの中核拠点に選定されており、名実ともに材料研究におけるわが国の中心となりつつあると思います。民間との共同研究においても、組織力を生かした大型の組織間共同研究が進められています。強調したいのは、これらの組織的研究活動では一貫して“わが国全体の研究力への貢献”という観点を重視してきた点です。例えば、多くの人的資源と多額の資金を投入して進めてきたマテリアルデータプラットフォーム事業では、NIMSの成果をアカデミア全体に広げるよう政府に強く働きかけ、2021年度からは文部科学省のマテリアル先端リサーチインフラ事業として日本全体で取り組みが進められるようになりました。

また、“産業力強化への貢献”という観点も強く重視してきました。例えば、新たな取り組みとして、普段は競合している「同業多社」の基盤的研究からオープン領域を抽出し、NIMSを核として皆で協力して研究を進めることを特長とするマテリアルズオープンプラットフォーム(MOP)の構築を始めています。現在、化学、全固体電池、医薬品、磁石の各分野でこの事業が進行しています。グローバルな観点からは、同じ分野に比較的小粒な会社が複数存在する中で競合している日本産業界の国際競争力強化に貢献できるものと確信し、今後の展開を期待しているところです。

最後に、研究環境について触れたいと思います。文科省や財務当局のご理解もあり、現・中長期計画の実施期間中にNIMSの研究環境は飛躍的によくなりました。特に研究装置のレベルに関しては、世界の材料研究機関において間違いなくトップクラスにあります。こうしたメリットを生かして、今後大きく飛躍していくことがNIMSに期待されています。職員の大いなる努力とともに、多くのNIMS応援団の皆さまのさらなるご支援をお願い申し上げます。