通常の研究論文では、 “成功例”のみが報告され、超伝導特性を示さなかった物質の情報は共有されないため、別の研究チームで同じ失敗が繰り返される可能性があります。しかし今回のレビュー論文は、新たに発見された超伝導体とともに、超伝導が認められなかった約700種の物質を含む1,000種ものリストが収録されています。
「これはおそらく、検討したが超伝導を示さなかった物質のリストを含む初の論文です。超伝導の研究者にとって貴重なデータとなるはずです」と、今回の論文の筆頭著者である細野教授は述べています。「世界中で無駄な努力を避け、超伝導分野の研究を推進したい」という研究チームの総意のもと、広くデータを共有するために、オープンアクセス誌であるSTAM誌上での公開にいたりました。
本研究は、最先端研究開発支援 (FIRST) プログラムのもとで行われた4年間の研究成果をまとめたものです。