NIMS WEEK 2009 開催報告

次世代医療を開拓するナノバイオ材料

2009.07.21-24
(2009.08.01 更新)


NIMSは2009年7月21日~24日の4日間、つくば国際会議場においてNIMS WEEK 2009 - 次世代医療を開拓するナノバイオ材料 - を開催いたしました。

材料は我々人類のあらゆる生活・文化・産業の礎であり、医療分野もその例外ではありません。体内に埋入し治療に用いられる材料や診断に用いられる先進医療機器の部品など、様々な材料が現代の高度医療を支えています。しかし、21世紀を迎えた現在においても、医療における課題が全て解決された訳ではありません。人類が抱えるライフサイエンス分野の課題の解決のためには、これまで以上に医療を支える材料・技術の研究開発を進める必要があります。そこで、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合を進め、医療に貢献する新たな材料開発研究を促進するべく、NIMSは7月21日~24日の4日間、つくば国際会議場においてNIMS WEEK 2009を開催いたしました。

今年のシンポジウムの様子

本年のテーマである“次世代医療を開拓するナノバイオ材料”という観点で選出されたNIMS賞の授与式および受賞講演、国内外の著名研究者による講演を始め、次世代医療に関わる4つの分科会およびその他最新の研究に関するシンポジウムが行われました。

NIMS賞授与

「NIMS賞授賞式 : 潮田理事長と受賞された片岡教授」の画像

NIMS賞授賞式 : 潮田理事長と受賞された片岡教授



NIMS賞には、薬物・遺伝子を体内に運ぶナノ構造デバイスを開発した、東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻の片岡 一則 教授が選ばれました。この高分子に薬物を結合させて体内の目的地に運ぶドラッグデリバリーシステムは、がん治療への優れた効果が確認されており、臨床試験が進められています。

基調講演

「NIMS WEEK 2009の様子」の画像

NIMS WEEK 2009の様子



基調講演として東京女子医科大学先端生命医科学研究所長 岡野 光夫 教授が、細胞シート工学による生体組織の再構築および臨床応用について話されたのに続き、迅速診断のためのバイオチップ開発、DNAを用いた三次元構造制御ナノテクノロジー、再生医療のための生体活性材料など、ナノバイオ材料・技術に関わる NIMS内外の研究者による講演が行われました。

開催を振り返って

サテライトシンポジウムを含めた総来場者は450名を越え、各シンポジウムにおいて活発な討論が交わされました。

医療のためのナノバイオテクノロジー・材料研究には、生物学・医学から化学・物理学・電子工学・材料工学など、多彩な領域の専門家チームによる研究が必要となります。NIMS WEEK 2009では、これら多くの学問領域に関わる研究者が集まることにより、最新の情報交換だけでなく、他分野の研究者との交流や新たな共同研究の糸口を提供できたと確信しております。本会議の成功を基に、NIMSではより一層ナノバイオ材料・技術分野の研究・開発に注力し、取り組んで参ります。引き続き、皆さまのご支援・ご協力をお願いいたします。