ACM型腐食センサ


ACMセンサとは

 

 二つの異種金属を互いに絶縁した状態で樹脂中に埋め込み、両者の端部を環境へ露出す

ると、溶液中ではもちろん、大気または室内環境でも比較的高い湿度条件ができると、両

金属間を水膜が連結するので腐食電流が流れる。この電流は卑な金属の腐食速度に対応す

るので、そのセンサとして使える。このセンサは、大気腐食モニタ(Atmospheric Corrosion

Monitor)あるいはACM型腐食センサと呼ばれる。
 

当研究室で開発した(カソード付与)ACMセンサ  

 

 当研究室で開発したカソ−ド付与ACM型腐食センサ(以下ではこれを単にACMセンサと

よぶ)の構成を写真に示す。これは、腐食情報を長期にわたって採取できる−センサの寿

命が数ヵ月程度であっても、これを更新することで長期にわたる腐食情報の採取を可能に

する−ことを目的とし、量産性および再現性に留意したものである。厚さ0.8mmの炭素鋼

板を64mm×64mmに切り出し、基板とした。この上に、厚膜IC用精密スクリーン印刷機

(C.W.プライス社製、 80l0)を用いて絶縁ペースト(厚さ30〜35μm、グレース・ジャパ

ン社製、アミコンME-990J #MBN(樹脂:エポキシ系、フィラー:BN))を塗布し、150℃

×1hで硬化させた。続いて、導電ペースト(厚さ30〜40μm、グレース・ジャパン社製、ア

ミコンC‐990J#585、樹脂:エポキシ系、フィラー:Ag)を、基板との絶緑が保たれるよ

うに、絶縁ペーストのパターン上に積層印刷し、130℃×1hで硬化させた。こうして作製し

たセンサのうち、乾燥状態で両極間の抵抗がl0MΩ以上のものを合格品として測定に用い

た。1回あたりのセンサ作製数 128ヶのうち合格品の歩留は90%(116ヶ)以上である。セン

サ出力の測定範囲は0.1nA〜1mAであり、その分解能は0.1nA〜10μAでは0.1nA、1μA〜

1mAでは1μAである。

 

 くわしい図と写真