開発の目的
材料安全使用のための材料リスク情報プラットフォームの開発に関する研究
■■ 4 ■■ 材料リスク情報プラットフォームの社会技術的な開発プロセス
||| 1 ||| 社会の要求事項を踏まえたプラットフォーム開発方針
以下のように、本プラットフォームに期待される要件を多様な視点から精査し、材料使用者の視点を重視して開発を行うものとする。
@ 材料情報に関する問題点の一つとして、情報が材料供給者の視点で提供されてきており、材料使用者からのフィードバックが不充分であったということがあげられる。
今後、プラント材料の使用の不適切さ(プラント材料設計ミス・運用ミス・情報管理ミス等)による事故発生を避けるためには、プラント安全に必要な材料に関する情報を材料供給者が把握して、その提供する情報をプラント製作者や運営者(材料使用者)が活用し、さらに材料使用者の意見を材料供給者にフィードバックして情報基盤・技術基盤を随時更新していく仕組み造りが必要である。A 材料開発者、システム設計者、システム運営者、評価者等が共通して使用できる情報基盤が必要である。
B プラント材料の使用に係わるライフサイクルステージ毎に、材料に関わる原因で発生するトラブル事象・事例(過去の事例および現在起こりつつある事象)を整理して、ライフサイクルステージ毎にプラント安全に必要であったと考えられる材料に関する情報を分析し、その結果を情報提供の仕組みづくりに活かす。
C 今後、考慮すべきプラント材料の使用環境として考えられる劣化・損傷要因の検討を行い、その環境において重要となると考えられる材料に関する情報を整備する。
D 我が国ではプラントのリスク評価が欧米に比べて普及が遅れているが、今後重視されるようになることは確実であり、リスク評価の実施において、事故情報も含め、材料関係情報がどう係わるかを正しく認識し、リスク評価において必要となると考えられる材料に関する情報を整備する。
E このシステムは、今後増加することが考えられるベンチャー研究開発者にも大規模組織に属している場合と同等の情報を提供することも目的としている。
||| 2 ||| 開発終了後のメンテナンス・移植性を考慮したアーキテクチャの採用
本プラットフォームの開発終了後、長期間に渡って社会に貢献していくための仕組みをデザインし、それに適したアプリケーション・アーキテクチャーを採用する。
例えば、機能の中には、本プラットフォームとして実装するだけでなく、ユーザーが使用するCADシステムの一部として組み込みたいといった要望が出てくることも考えられる。そのため、最終的な成果としてのシステムだけでなく、途中の情報も移植性の高い形式で整備し、必要に応じて提供できるようにする。