開発の目的
材料安全使用のための材料リスク情報プラットフォームの開発に関する研究
■■ 3 ■■ 材料リスク情報プラットフォームの中心コンセプト
||| 1 ||| 統合プラットフォーム
本プロジェクトは、火力発電プラント等のライフサイクルにおける材料の問題に起因するリスク(以下、材料リスク)を、プラント材料関係者(材料供給者、材料使用者、材料研究・技術者、等)が社会的・技術的視座のもとで認識し、材料使用の自由度も活かして、より適切な材料使用を実現するための情報・技術基盤となるシステムを開発するものである。
本システムは、材料使用経験や実機での劣化損傷情報また材料科学研究などの適切な知見に基づいて構築するものである。その構造は移植性の高いモジュール群が必要に応じて緊密に連携動作するような形で統合したものであり、プラットフォームと呼ぶ。
本プロジェクト終了後も様々な形で改変・活用されることが可能であるように、システム内部の可視性を高めた形で、システムデザイン・ソフトウェアデザイン等の開発プロセスを進める。||| 2 ||| 社会技術としてのリスクマネジメントの導入
本プロジェクトは、単に技術者の考える安全性に留まらず、社会に向って開かれたリスク情報の世界を構築するために、考慮するリスクの範囲を幅広に設定し、社会からの要求事項を常に認識し、それに応えるようなリスクマネジメントを支援できるプラットフォームとする。
||| 3 ||| プラント材料使用シンセシスを行うユーザーを支援
本プラットフォームのユーザーは、プラントに材料を使用しようとする場合には、何らかのシンセシスを行うものと想定する。例えば、新規プラントの構想・設計、既存プラントの用途変更時や寿命延伸時の検証、既存プラントの改造設計、等のシンセシスである。
このような総合化に必要な諸機能、即ち、アナリシス機能、シミュレーション機能、診断機能、最適化検討機能、情報検索機能、発散と収束を伴う発想支援機能、設計のための創造的思考ナビゲーション機能、オントロジー構築・活用機能、仕様チェック機能、変更管理機能、影響評価機能、故障物理事象の発現条件マッピング機能、等を、ユーザーが有機的に活用し、その過程の記録も根拠情報として整備できるような情報環境を構築する。||| 4 ||| 開発・導入したリスクベース技術のシステム化
本プロジェクトでは、すでに開発されたリスクベース技術を取り入れるとともに、これまでの事故事例を十分に分析し、その原因としての材料技術を十分に意識して技術開発を行い、その成果をシステム化してプラットフォームに組み込むものとする。