山内 悠輔 MANA主任研究者（メソスケール物質化学グループ）が参加する、グリフィス大学、南クイーンズランド大学、ニューサウスウェールズ大学、クイーンズランド大学、科学技術振興機構 ERATOの共同研究チームは、高電圧、高温、腐食環境といった極限状態でも動作するワイドバンドギャップ材料を用いて、数十年の寿命を期待できるインプラント型電子システムの開発に世界で初めて成功しました。

ワイドバンドギャップ材料は、非導電性材料と半導電性材料の中間の電子特性を持つ半導体の一種で、パーキンソン病や脊髄損傷治療のためのインプラント材料への応用が期待されていましたが、材料の機械的柔軟性、耐熱性、耐衝撃性、化学的安定性に困難を抱えていました。

本研究では、生体との接触面にSiC（シリコンカーバイド）ナノ膜、保護カプセルに二酸化ケイ素を使用した柔軟なワイドバンドギャップ材料を開発し、生体流体中で比類のない安定性と機能性を維持することに成功しました。インプラント型バイオ電子システムは、ターゲットとなる神経に電気刺激を与えて異常なインパルスを制御し身体機能を回復させる移植可能なデバイスとしての活用が期待されます。

掲載論文

題目 : “Wide bandgap semiconductor nanomembranes as a long-term biointerface for flexible, implanted neuromodulator”
著者 : Tuan-Khoa Nguyen, Matthew Barton, Aditya Ashok, Thanh-An Truong, Sharda Yadav, Michael Leitch, Thanh-Vinh Nguyen, Navid Kashaninejad, Toan Dinh, Leonie Hold, Yusuke Yamauchi, Nam-Trung Nguyen, Hoang-Phuong Phan
雑誌 : Proceedings of the National Academy of Sciences (Online August 8th 2022)
DOI: 10.1073/pnas.2203287119

---

〒305-0044 茨城県つくば市並木1-1
TEL: 029-860-4710
E-mail: mana-pr=ml.nims.go.jp([ = ] → [ @ ] )