機構の動き

新フェローの紹介
 NIMSは、平成15年度より外部の優秀な研究者をNIMSフェローとして迎え入れる制度を開始しましたが、NIMS内の優秀な研究者についても落ち着いて研究活動に従事できる環境をつくるため本制度をNIMS内の研究者に対して拡充し、このたび以下の3名の方を新たにNIMSフェローとして認定しました。「物質・材料の分野で顕著な業績をあげてきており、今後ともNIMSの研究活動に大きな寄与を期待できること」を認定基準とし、理事会の審査を踏まえ理事長が決定しました。NIMSフェローは、定年後も再雇用されて引き続き指導的な研究活動を続けることになります。

板東 義雄
(ばんどう よしお)

理学博士(1975年)。大阪大学大学院理学研究科博士課程修了。無機材質研究所研究員(1975年)、同主任研究官、同総合研究官、物質・材料研究機構物質研究所超微細構造解析研究グループディレクター(2001年)、同総合戦略室長(併任、2001年)、若手国際研究拠点センター長(併任、2003年)、筑波大学連携大学院教授(併任、1993年から)を経て2004年12月に物質・材料研究機構フェローに就任。
就任にあたって
 学生時代に電子顕微鏡に魅せられて研究者の道を志し、幸いにも今日まで電子顕微鏡一筋の研究に邁進することができました。最近の10年は特にBNナノチューブなどの新しいナノチューブの探索・創製と電子顕微鏡を上手に活用した解析研究に集中し、その結果「ナノ温度計」を偶然に発見するなどの幸運にも恵まれました。昨今は自身の研究活動に加えて、若手国際研究拠点のセンター長として世界各国から来た数多くの若手研究者の研究指導や研究運営を行っています。このたびのフェローの就任を契機にこれまで以上に質の高い研究を目指し、また若い研究者から尊敬し目標とされるような国際的な視野に富んだシニア研究者になるべく全力を尽くしてゆきたいと思います。皆様のご支援をお願い申し上げます。
宝野 和博
(ほうの かずひろ)

Ph.D.(1988年)。ペンシルバニア州立大大学院博士課程修了。カーネギーメロン大学ポストドック(1988年)、東北大学金属材料研究所助手(1990年)、金属材料技術研究所主任研究官(1995年)、同室長(1998年)を経て、物質・材料研究機構材料研究所ナノ組織解析グループディレクター(2002年)。その間、筑波大学大学院数理物質科学研究科助教授(1999年)、同教授(2003年)を併任。2004年12月 物質・材料研究機構フェローに就任。
就任にあたって
 これまで機構外で活躍された研究者を招聘するために運用されてきたフェロー制度が、機構内の常勤研究者にも拡充されるという理事会決定事項報告を読んだとき、全く他人事と思っておりました。そのフェローに私が任命されたと聞いたときは心底驚きました。しかし、研究三昧の生活をしていても機構で長く楽しくやっていけるということを後進の人たちにお伝えしたく、若輩ではありますがお受けすることにいたしました。今後も金属系ナノ材料についての研究をスタッフ、ポストドック、院生達と楽しんで行きたいと思います。もちろん、その研究成果が世の中の役に立てばもっと嬉しいですが、研究結果はどう転ぶか予想がつきませんので、約束はできません。
山本 昭二
(やまもと あきじ)

理学博士。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了(1971年)。科学技術庁無機材質研究所主任研究官、物質・材料研究機構先端結晶解析グループディレクターを経て、2004年12月物質・材料研究機構フェローに就任。
就任にあたって
 既に就任されているフェローの方々の多彩な経歴とは異なり、一貫して科学技術庁無機材質研究所およびその後継の物質・材料研究機構物質研究所で非周期結晶の構造解析法の開発を行って来ました。結晶構造を知ることは物質の基本的性質の理解に欠かせないため、21世紀でもその重要性は変わらないでしょう。通常の結晶の構造解析法は確立していますが、非周期結晶の方は解析法が確立していないものもあり、普及していないものもあります。新しい結晶構造解析法の開発および普及を通じて、物質・材料の研究に貢献出来ればと考えております。

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