国際連携III
(重点領域 国際共同研究)

NIMS -シュツットガルト大学
材料試験研究所(ドイツ)
「耐熱材料の高温強度評価向上を目指して」

材料基盤情報ステーション

シュツットガルト大学
材料試験研究所

八木 晃一

Karl Maile


 平成16年3月に当機構でMITS 2004国際会議を開催し(MITSは材料基盤情報ステーションの略称です)、その中の1日をNIMS-MPAワークショップに充てました。シュツットガルト大学材料試験研究所(以下MPAという)との研究協力に基づく4回目のワークショップです。
 MPAは、その前身がビュルテンブルグ王国の機械・材料試験研究機関として1878年に設立され、その後教育・学術研究と産業・実学研究とを合体させて今にいたっています。今年の10月に当機構の岸理事長らを招待して120周年記念を催した歴史のある機械・材料工学系の研究機関です。
 MPAは、創立の時代から、発電プラントなどのエネルギー関連機器部材の研究を主体としており、発電プラントなどの部材の実物試験体(管や板、また実物モデル)を試験できる大型の施設・設備を保有しています。また、基盤研究として構造部材を構成する金属材料やセラミックの強度試験も実施しています。
 発電プラントなどの機械構造物は高温や低温の条件で使われ、またその構成材料は腐食しやすい環境条件に曝されたり、荷重が変動したり、多方向から荷重が作用する状態で使われます。このため、温度や腐食、また荷重変動が材料の強度にどう影響するかを定量的に調べることは重要です。一方、配管などの構造部材にはこれらの因子が複合して作用しますので、その複合効果を解明することが必要です。NIMSは前者の材料工学領域を、MPAは後者の力学領域を得意としています。両機関は共通する部分と、相互に補完する領域を持っています。
 1998年11月にRoos所長らがつくばへ来訪したのを機に、研究協力を話し合い、1999年4月に覚書を結びました。この覚書に基づき、ワークショップを開催し、情報交流を通じて研究協力の輪を作っていくことにしました。そして、2000年3月にシュツットガルトで第1回を開催しました。
 会合のテーマは、第1回が材料開発・部材信頼性と材料情報でしたが、第2回以後は話題性のある発電プラント用高クロム鋼の長時間強度をテーマとして取り上げ、両機関ばかりでなく関係者にとって価値のあるワークショップが開催できました。また、MITS2004ではMPA関係者の協力でリスクベース工学ワークショップも開催しました。この関係を通じてさらに緊密な協力へ進んで行きたいと思っています。
 図は本研究協力の代表者であるK.Maile副所長から提供されたものです。

図 MPAでの実配管曲げクリープ試験の状況.


トップページへ