NIMSの中核機関としての機能強化について

理事長
岸 輝雄


 NIMSは、物質・材料研究を専門にする我が国唯一の独立行政法人として、自らの研究活動の推進とともに、我が国の物質・材料研究活動の全体を底支えし、また国際的な物質・材料研究活動をも支える中核機関としての役割を果たさなければなりません。
  NIMS設立以来、このような中核機関としての機能を果たすために、所要の施策に取り組んできました。第1期の中期計画を約1年半残す現時点において、この機能強化をさらに確実なものとして第2期へ発展的に繋げていくことが必要であると考えています。
  NIMSは、物質・材料研究分野における国内外の状況を踏まえ、国際的取組み・情報発信、知的基盤、産独・学独の連携の3点について機能強化を図っていきます。

1. 国際的取組み・情報発信の強化
●国際的取組みの強化
 主として二機関の協力で進められている現在の国際連携をもとに、物質・材料研究に携わる多機関の国際連携の枠組みを構築していきます。
 また、若手国際研究拠点(ICYS)の活動の経験を活かしつつ、職場・生活環境の一層の改善・整備に取り組み、積極的に外国人研究者の受け入れを図ります。
●情報発信の強化
 国内外の物質・材料研究に係る政策、施策、研究活動などの全般的動向を的確に把握し分析する情報分析誌として、「物質・材料研究アウトルック」(Materials Science Outlook)を発刊します。
 一方、科学雑誌Science and Technology of Advanced Materials(STAM)が世界に通用する国際学術誌となるように、NIMSは他の推進機関とともに本誌の改善・発展について取り組みます。

2. 知的基盤の強化
●国際標準化の活動強化
 新しい物質・材料を世界的に普及させるため、NIMSの研究成果については可能な限り国際標準化を目指します。
 そのためNIMS内に標準認証委員会を設置し、NIMSとして研究成果の標準化認定を行い、国際会議などを通してそれらの国際標準化を積極的に推進します。
●知的財産の基盤強化
 知的財産の管理・活用に関する基本方針の策定や特許管理・維持システムの見直し・改善などにより、NIMSの研究成果が効果的・効率的に活用される体制を構築します。

3. 産独・学独の連携強化
●材料研究プラットホームの構築
 秘密保持に配慮した居室やNIMS研究者と自由に研究討議のできる共通スペースの確保など、企業の研究者がNIMS内の研究活動により積極的に参画できるように環境改善を図り、NIMSの研究成果の実用化を推進します。
 第2期において企業との実用化研究を進めるため、第1期の期間内に実用化が期待できる研究テーマを設定し所要の準備を進めます。
●学独連携の強化
 大学との連携で研究活動が大きく発展する可能性のある新規開拓的な研究テーマについて共同研究を積極的に進める一方、国内外の大学とともに物質・材料研究に関する調査・分析を行い上述の「情報発信の強化」を図ります。

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