プレスリリース

ベンチャー企業「NIMS Wave(株)」が発足

 NIMS、東京電波株式会社、東北大学の酸化亜鉛関連材料に携わる研究者らが参加して、ベンチャー企業「NIMS Wave(株)」が平成16年5月26日に発足しました。現在、NIMS認定ベンチャー企業となるための手続きを進行中です。同社では、酸化亜鉛単結晶基板の高度な利用技術の開発とその企業化を通して、社会に貢献することを目指しています。


定常磁場の国内記録を更新する37.9テスラの発生に成功
 強磁場研究センター磁場発生グループの浅野稔久主幹研究員らは、新しく開発した水冷銅マグネットを既存超伝導マグネットに組み込むことで、一定時間維持する定常磁場としては国内最高の37.86Tの発生に成功しました。これは、米国の国立強磁場研究所で達成された45.1Tに次ぐ世界第2位の記録です。同グループでは、水冷銅マグネットのコイルを構成するビッター盤の形状と積層方法を工夫することで、発生する磁場の強さを0.5T以上向上させる一方で、通電電力を従来の14.33MWから13.35MWと約1MW低減しており、より強い磁場を長時間発生させることが可能になりました。


データシート発行情報
 材料基盤情報ステーションでは、中期計画における知的基盤の充実に向けた取り組みの一環として、クリープ、疲労、腐食、宇宙関連材料についての材料データ整備とデータシートの発行を進めています。今回は、宇宙関連材料強度データシートNo.3,No.4と疲労データシートNo.93,No.94,No.95,No.96を発行しました。


水に溶けるシリカ系材料の合成に成功
− ナノメートルオーダーのロッド状シリカ系材料の合成 −
 物質研究所光学単結晶グループの金子芳郎外来研究員と井伊伸夫主席研究員らは、反応性イオン性の置換基へ変換するアルコキシシラン原料の重合(ゾル−ゲル法)によって、水に溶けるシリカ系材料の合成に成功しました。この材料は、表面にイオン性の置換基を有する直径約1nmのロッド状構造であり、水との親和性が良いため水分子が十分にシリカ同士の間に入り込む事が可能であるため、結果として水溶性を示しました。本材料は水溶性、イオン性、透明性や増粘性を利用することで、無機−有機ハイブリッド材料のための基材、化粧品やインクなどの増粘剤としての応用が期待できます。


気相成長ダイヤモンド薄膜で超伝導を発見
 ナノマテリアル研究所ナノ量子エレクトロニクスグループの高野義彦主任研究員らは、早稲田大学理工学部の川原田 洋教授らと共同で気相成長ダイヤモンドにホウ素を大量に添加することにより、超伝導が出現することを世界で初めて発見しました。本材料はホウ素を炭素に対して2%と非常に高濃度で添加し合成したもので、絶対温度8.7Kで超伝導を示しました。今回の発見により、ダイヤモンド薄膜に超伝導という新しい機能が付加されたことで、発熱の極めて少なく環境に優しい新デバイスの実用化が期待されます。

トップページへ