CCDレーザ変位センサを
利用した腐食形態の統計処理

材料基盤情報ステーション
腐食研究グループ

田原 晃


 鉄鋼材料のような金属は腐食反応により酸化物等の腐食生成物へ変化することは自然界の法則で避けられません。その腐食形態は大きく分けて全面腐食型と局部腐食型に分けられます。全面腐食型は文字通り表面全体が均一に失われる腐食で、屋外の大気中での炭素鋼でよく見られるタイプです。一方、局部的に進行する腐食を局部腐食と呼び、ステンレス鋼の孔食がその代表的な例です。我々は、上記のような腐食形態(表面粗さ)を数値データとして取り扱うため、表面形状測定装置を利用してデジタル化し極値統計処理を行って、腐食環境による腐食形態の指標化を試みています。
 私達が使用した表面形状測定装置(図1参照)は、高精度のX、Y、Z軸ステージとCCDレーザ変位センサを組み合わせたものです。図2はこの装置を利用した測定の一例で、宮古島で暴露試験を2年間実施した電解鉄の除錆を行った後の表面です。150×50mmの試験片表面の中央部40×40mmの部分を100um間隔で測定し、401×401(計160801)点のデータから、3次元表示しています。
 図2のように測定したデータを、256等分のメッシュに分割し各メッシュで最大浸
食深さを求め、極値統計処理(Gumbel分布に従うと仮定)を行って整理した結果が図3です。全面腐食型を示す電解鉄では1本の直線で、一方、Fe-3%Cr合金では2本の直線関係が成り立つことが分かります。浸食深さの大きい直線(赤)は孔食型、もう一方の直線(青)は全面腐食型を示し、3%Cr合金の場合には2つのタイプが同時進行して腐食していることを示しています。
 また、腐食形状は地形データと酷似しており、フラクタルにより説明出来る可能性もあり今後検討する予定です。



図1 表面形状測定装置模式図.

 

図2 表面形状の測定例;宮古島で2年間暴露した電解鉄.

図3 Gumbelプロットで整理した表面形状データの例.


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