新年ご挨拶

Enjoy NIMS, Enjoy Tsukuba

理事長
岸 輝雄


 新年おめでとうございます。
 NIMSが設立され、3度目の新年を迎えました。独立行政法人化、2研究所の統合等の変革による慌ただしい時期は過ぎ、内部の組織、制度の構築も一段落し、少し落ち着いた雰囲気で新年を迎えることができました。
 昨年8月に行われた文部科学省の評価委員会においては、研究成果、運営等含めてNIMSの活動は高く評価されました。これはひとえに研究者、事務部門、運営5室の連携、努力による賜物と言えます。今後も恒常的な発展を目指し、更なる努力を続けていきたいと考えている次第です。
 さて、独立行政法人の中期計画は5カ年です。このことには5年間落ち着いて研究を継続できるという大きなメリットがありますが、逆に中期計画の期間中に内部でプロジェクト等を新たに立ち上げる難しさもあります。そこで本年度は、新たな内部プロジェクトを募り、中期計画の充実を図りました。
 機構運営の面も活性化されています。広報活動の推進により、来客数は広報室を介したものだけで年間2,000人と急増しています。研究資金に関しては民間資金、競争的資金ともに着実に増加しています。国際関係では、これまでに36の機関とのMOU締結、そしてチェコ・カレル大学、オーストラリア・5大学との連携大学院を行っています。産学独連携も活発に行われ、300件近い共同研究が推進されています。またベンチャー支援制度の充実により、3つ目のNIMS発ベンチャーが立ち上がりました。総務・業務などの事務部門も独立行政法人としての制度に馴染んだ形で順調に運営されており、人事処遇面では研究者の個人業績評価制度をスタートし、来年度からは研究を支える職種(エンジニア職)の設置を予定しています。
 新しい取り組みとしては、一昨年のナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターに続き、昨年9月に科学技術振興調整費の支援による若手国際研究拠点を設立しました。この拠点では15カ国から30人の外国人研究者、NIMS内外の日本人研究者10人が参加し、英語を公用語とした国際的環境という刺激の中で新分野開拓を目指します。さらに、本年4月には新しい方式の連携大学院として筑波大学数理物質科学研究科内に独立連携「物質・材料工学専攻」を設置し、博士後期課程の運営を開始する予定です。
 じっくり基礎・基盤研究を推進すること、すなわち長期安定性(Long Term Stabilization)こそがNIMSをはじめとする公的機関の使命です。しかしながら、落ち着いた環境の中にも常に新しいことに挑戦する活性化された雰囲気を作るには、NIMS内の相互の連携、交流について一層の取り組みが必要と考えています。次年度より、研究ユニットの枠を超えた研究交流会を企画しますが、これは“Enjoy NIMS”の気持ちがあってこそうまくいくというものです。また国内外の幅広い連携が重要ですが、まずは多くの研究機関を有し、NIMSがある「つくば」を考えると、“Enjoy Tsukuba”も重要なキーワードになるといえましょう。
 好きで始めた研究です。評価、競争的資金、競争的環境等今までとは異なる点があるとはいえ、目標はしっかり持ち、研究生活をEnjoyする余裕は必要です。
 また今後は、基礎・基盤研究に加えて、他の3つのミッションである技術展開、施設・設備の共用、人材育成にも力を入れて取り組む所存です。
 本年もまた広く国内外からのご指導、ご支援をお願いするとともに、皆様方のご発展、ご活躍をお祈り申し上げる次第です。

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