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金属系の超伝導体材料としてMgB2は、超伝導遷移温度が39Kと優れた性能を持ちますが、今までの製造方法ではFe、Ta、Wなどのカプセルにアルゴンガスを封じて長時間焼結したり、高圧アルゴンガス中で焼成するなど、製造には時間と手間がかかっていました。燃焼合成プロセスグループでは燃焼合成法を利用した技術を使って、簡単に、かつ短時間でMgB2超伝導材料を製造する方法を開発しました。 今までの方法によるMgB2の製造では、高温で長時間の熱処理が必要なため、Mgが蒸発してしまい、MgとBの組成比率が変わって、超伝導性能に悪い影響を及ぼします。また熱処理には良好な非酸化性のガスを使用しないとMgの酸化が起こりやすくなり、この酸化を防止するために真空にすると、Mgの蒸発を助長することになります。燃焼合成プロセスグループでは、TiとCやTiとBなどが反応するときに大きな生成熱を発生することに着目して、これらの生成熱を利用して、MgとBの燃焼合成を起こさせてMgB2を製造する方法を考案しました。一切酸素等の助けを借りない燃焼合成なので、真空中でしかもきわめて短時間で製造でき、Mgの酸化及び蒸発をできる限り抑制することができます。 図1は、室温中で燃焼合成によって製造されたMgB2焼結体を超伝導測定装置によって測定し、帯磁率の温度変化をグラフで表したものです。超伝導遷移温度Tcは39Kで、帯磁率の変化が大きく、良好な超伝導性能を示していることがわかります。 図2は、燃焼合成によって得られたMgB2の試料です。現在の実験段階では、少量のMgB2しか得ることができませんが、将来実験装置を大きくすることなどによって、数キログラムのオーダで製造することが可能になると思われます。従って、今後の線材製造の際の供給原料などとしても期待できます。 |
(本研究成果は、日刊工業、日本工業、日経産業、化学工業日報の各紙に紹介されました。) |
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図1 室温で燃焼合成によって製造された |
図2 燃焼合成によって得られたMgB2の試料 |