特集“ナノ物質・材料”その1

ナノデバイス新材料の開発に関する研究

ナノマテリアル研究所
ナノデバイス研究グループ
小口 信行



 これからの21世紀社会においては、環境に負荷が少なく,また取り扱いの容易な高速・大容量の高度情報処理システムを構築していくことが要請されています。この要請に応えるためには、現在の情報処理システムに使われている各デバイスの性能を飛躍的に高度化する必要があり、これらのデバイス開発の基盤としての材料研究に大きな期待が寄せられています。
 従来の情報処理システムに使われているデバイス、たとえば半導体デバイスを例にとると、1947年のトランジスタの発明以来、IC,LSI,超LSIへと、シリコンデバイスの微細化、集積化とともに発展してきました。しかしこれらのデバイスにおいてナノメートルを単位とする寸法を議論し始めるようになった現在、従来のデバイスには動作原理の限界が見え始めてきており、ナノメートル空間を利用する質的に新しいデバイスを開発していくことが必要になってきています。このようなナノメートル空間を利用する技術開発の潮流は、光による情報処理デバイスを構築していく上でも現れ始めています。固体をナノメーターの領域まで小さくしていくと、通常我々の目にふれる世界とは異なった物理法則が現象を支配するようになりますが、これらの現象をうまく制御・利用することにより、今後の革新技術につながる新しいデバイスを開発できると考えられます。
 本研究は、高度情報処理システムのためのナノメートル空間を利用した新しいデバイス材料を開発していくことを目的に、物質・材料研究機構が長年培ってきたこの分野の研究ポテンシャルを結集して実施していく予定です。これらの研究は、図に示すように5つのサブテーマから構成されますが、物質の表面あるいは内部にナノメートルスケールの構造を作製し、これを制御・利用することにより新しいデバイス材料を開発していく研究、および物質内部にすでに含まれているナノメートルスケールの構造を制御・利用することにより新しいデバイス材料を開発していくことを目指した研究からなっています。

図 研究テーマの全体像





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