物質研究所の紹介

物質研究所所長 渡辺 遵


物質・材料研究機構物質研究所は、つくばの並木地区に本拠を置いています。機構における当所の役割は、物質科学、材料科学への貢献を目指して、物質に関わる基礎・基盤的研究を世界的視点で先進的に押し進めることです。
 社会を構成するあらゆるシステムは様々な材料から組み上げられており、それらの材料開発の基盤では、相応しい物質を見出すために多様な努力がなされています。80年代半ばの高温超伝導体の発見以降の流れがよい例です。その驚嘆すべき発見以来、世界中の研究者が社会を一変させうるシステムの実現を目指し、より優れた超伝導体の探索やその高性能化、材料化に向け多大な努力をしてきました。その結果、研究レベルでは着実に進歩してきましたが、社会への具体的反映はまだ小さなものです。このように超時代的物質に出会ったとしても、物質から材料、そして材料からシステムに至る道のりはいずれも決して単純、明快なものではありません。我々物質研究所は、この混沌とした過程のうちの前半部を主に受けもち、物質探索や機能探索、そしてそれらの材料化に注力します。
 現状、セラミックス及びそれらを基材とする複合材等を中心に据え、超高圧力合成技術や単結晶育成技術あるいは結晶構造解析手法など物質や材料開発の基盤となる各種の合成技術や解析評価手法を開発しつつ研究を進めています。今後とも我々は、対象がどのようなものであれ、『基礎、基盤となる研究を先進的視点をもって着実に押し進めれば、その先には必ず新物質や新材料が待っており、実質的にはそれが実用材料開発への近道である』とのモットーをもって研究を進めていきたいと思っています。




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