そこで,粗大オーステナイトを加工し,変態フェライトの組織を比較してみました。
相当ひずみが0.74の場合、せん断ひずみがない領域では,オーステナイト粒界に生じたネックレスフェライトが見られます.粒内では伸張しているウィッドマンステッテンフェライトです。せん断ひずみがない場合でも、同様にネックレスフェライトが見られますが,矢印で示した領域に等軸フェライトの集合が見られます。これは明らかに,オーステナイト粒内からの変態フェライトといえます。次に,相当ひずみが1.27の場合,どちらの場合もネックレスフェライトの存在はわかりませんが、明らかにせん断ひずみのある領域とない領域でフェライトの形と大きさは違います。すなわち,せん断ひずみの影響によって,粒内の核生成サイトが促進されたことがわかります。しかし,この組織はあくまでも加工オーステナイトからの変態フェライト組織です。せん断ひずみの影響をより明確にするために,オーステナイトの変形を観察する必要があります。
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