この図は、相当ひずみεeqと加工オーステナイトから変態したフェライト粒径dαの関係を,
せん断ひずみγxyがある領域とない領域で整理した結果です。
この図から,せん断ひずみのない領域におけるdαεeqの関係(青のLine)は,
dα
∝(εeq)-1/3
によって示されます。しかし,せん断ひずみがある領域ではべき指数が-0.435となり(赤のLine),εeqに対してdα をより微細にすることがわかります。これは,ある粒径を目標にした場合,せん断付与加工は圧縮率の点で明らかに有利であることを意味します。例えば,25mm厚の鋼板で粒径2.5ミクロンを目標にしたとき,通常のせん断ひずみを伴わない圧延の場合77%(初期板厚109mm)の圧下が必要ですが,せん断付与圧延の場合には62%(初期板厚66mm)で十分です。すなわち,せん断付与加工には効率良く組織を微細化できる可能性があります。