プロセスパラメータとして,圧下率を用いる場合に注意しなければいけないのは,圧下率が同じであっても材料に導入される変形量,すなわちひずみは加工方法によって異なるということです。
例えば,アンビル圧縮と圧延の場合を比べてみます.圧延の場合は比較的均一なひずみが導入されます.しかし,アンビル圧縮の場合にはひずみは分布を持ちます.よって,同じ公称圧下率であっても導入されるひずみは大きく異なります.
   アンビル圧縮で75%圧下した場合に材料中心に導入されるひずみを圧延で行う場合には98%圧下が必要です(無論,この関係は条件によって異なります).すなわち,プロセスパラメーターとして、圧下率よりもひずみを考えるべきで、ひずみと組織の関係を調べることが重要になってきます。