一般的に言われているように相当ひずみが大きくなれば,大角化の割合も増加します(□)。しかし,せん断ひずみを導入することで,より効率よく大角化の割合を増加させることが出来ます(赤丸)。青いプロットで示したように,たとえ相当ひずみが同じ1.5であっても、せん断ひずみが増加するにつれ,大角化の割合も増加します。
すなわち,同じ相当ひずみでもせん断ひずみが大きくなるにつれ、大角化が促進されることがわかります。
以上の結果から、従来はγ粒内のフェライト核の生成サイトを増加させる手段として,相当ひずみを増加させることが必要でありました。これは確かでありますが,相当ひずみは外から与えた仕事に相当しますので,加工を繰り返して相当ひずみを蓄積すれば核生成サイトが増えるということはある意味当たり前であります。しかし、たとえ仕事量は同じであっても,せん断ひずみを導入することによって効率よく大角化を進めることができれば,このような加工プロセスを積極的に利用する方が今後のプロセスにとって重要と思われます。   そこで,次のステップとして,せん断付与加工を圧延に展開しています。