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Ni3Alなどの金属間化合物は脆く、これまで、圧延で箔をつくることは現実的ではないと思われてきました。我々のグループでは、一方向凝固法によって圧延性の高いインゴットを育成し、冷間圧延によってNi3Al箔を作製することに成功しました[1]。
Ni3Alの圧延性を向上するポイントは二つあります。
いずれも、一方向凝固法によって結晶の向きをそろえることが、鍵となります。
我々のグループのリーダーである平野は、1990年に、一方向に凝固したNi3Alが、ボロンを添加しなくても、著しい延性を示すことを見いだしました[6]。その後の研究[7]で、一方向凝固による延性化は、粒界の性格分布を制御できた結果であることがわかりました。Ni3Alは粒界が脆いと先ほど延べましたが、すべての種類の粒界が脆いわけではありません。双結晶を使った実験[8]によると、結晶方位差の小さい小角粒界や整合性が極めて高い双晶粒界(
一方向凝固による延性化はボロン添加によるそれに比べて効果が高く、また、組成範囲を選ばないという特徴があります(図1)[9,10,11,12,13,14,15]。
脆い粒界を排除する究極の形が、単結晶利用するという方法です。最近は、一方向凝固法によって単結晶を育成することに成功し、単結晶を圧延して箔を作製しています。図2は、精密鋳造法という手法で作製された板状の単結晶インゴットです。
これは、Ni3Alの変形が、不自由であるためです。一般に金属材料は、ある特定の結晶面ですべることで変形します。Ni3Alは面心立方構造という結晶構造をもち、そのすべり面は{111}面です。{111}面は等価な面が4つあります。この4つが自由に働くことができれば、異方性はなく、圧延はそれほど難しくはありません。しかし、Ni3Alでは、4つのすべり面の間の相互作用が強く、働くすべり面の数が多くなるにつれて、変形が著しく困難になります。圧延方向を制御して、働くすべり面の数をできるだけ少なくする必要があります。
単結晶の圧延実験の結果、先に述べた<100>方向に圧延した場合には、働くすべり面の数が2つですみ、比較的容易に圧延できることがわかりました。<112>方向に圧延した場合には、2つのすべり面だけではどうしても材料は曲がったりねじれたりします。これを矯正するために、ステンレス鋼などでパックして圧延すると、3つ以上のすべり面が働く必要が生じ、圧延が途端に困難になります。
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コマンド行は以下の通りでした。: 翻訳は Masahiko Demura によって 平成21年4月17日 に実行されました。
単結晶であればなんでもよいという訳ではありません。我々のグループでは、単結晶を<100>方向に圧延した場合に、図3のように、きれいに箔にまで圧延できることを見いだしました[16]。それ以外のたとえば<112>方向に圧延すると、曲がったりねじれたりし、場合によっては、途中で割れることもあります。つまり、Ni3Alは圧延変形に対する異方性が強く、方位を選ばないと上手く圧延できないわけです。
圧延異方性の制御
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この文書について...
Ni3Al箔の作製
Copyright © 1997, 1998, 1999,
Ross Moore,
Mathematics Department, Macquarie University, Sydney.
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Masahiko Demura
平成21年4月17日