超高圧とは?
物質・材料研究になぜ超高圧?

  • 圧力は、温度や濃度(組成)と同様、熱力学的な状態変数の一つです。
    圧力の単位はPa(パスカル)。私たちは、およそ1GPa(1ギガパスカル、約1万気圧)以上の圧力範囲を超高圧として扱っています。

  • 温度を上げて物質を合成するように、圧力は物質の構造・物性を変化させ、また、反応を起こさせることもできます。反応場の圧力制御は、温度制御と同様、物質・材料合成において大きな手段となります。

  • しかしながら、超高圧を出現させるには、それなりの特殊な装置を必要とします。私たちは、高圧高温場の発生のための装置・技術の開発を進めつつ、それを用いた物質・材料研究を行っています。

 地球という高温高圧装置とダイヤモンドの生成 

  • 地球は半径約6400kmの大きな高温高圧容器です。
    中心部の内核では、約300GPa、4000℃以上の高温高圧状態になっています。

  • 炭素の高密度相であるダイヤモンドも地球内部で作られますが、深さ200km以下の地球表面付近で生成したと考えられます。

  • 超高圧を用いれば、人工ダイヤモンドを合成することもできます。
    同じ炭素原子からなる黒鉛(グラファイト)を出発試料として、高温高圧相転移を起こさせます。
ダイヤモンド単結晶

 超高圧下における物質変化と多様な物性の出現

このほかにも、超高圧下では次のような様々な現象がおこります。
  • 構造相転移(高密度結晶構造の出現やアモルファス化)
  • 分子性結晶の分子解離(原子性結晶への転移)
  • 絶縁体ー金属転移
  • 電子相転移、磁気転移
  • 有機導体の超伝導化、高圧安定酸化物超伝導体の合成
                                 など・・

以上のように、

  • 超高圧は、常圧(1気圧)では得られない物質を得たり、物質の基本的な特性(基礎物性)を調べる上で、非常に重要なツール

であるのです。