TMR振動に対する新規理論の提案
スピントロニクス分野の長年の未解決問題である「トンネル磁気抵抗(TMR)振動」に対して、新たな理論を提案し、実験で観測される巨大な振動を説明することに成功しました (Masuda et al., 2025)。
TMR効果は、磁気センサーや磁気メモリに応用される代表的なスピントロニクス現象です。応用範囲をさらに拡大するためには、性能指標であるTMR比の向上が不可欠です。この文脈で、NIMSの実験グループは2023年に室温TMR比の世界最高記録を更新しました(T. Scheike et al., Appl. Phys. Lett. 122, 112404 (2023))。同時に、絶縁層膜厚に対してTMR比が大きく振動する現象(TMR振動)を観測し、その起源解明がさらなる高性能化の鍵であることを示しました。TMR振動は20年以上前から知られていましたが、起源は未解明のままでした。
本研究では、従来の理論で見過ごされてきた界面起源のメカニズムを取り入れた新しいTMR理論を構築しました。TMR効果は、磁性層/絶縁層/磁性層から成る磁気トンネル接合(MTJ)で発現し、界面の電子状態が重要な役割を担います。本理論の要点は、界面における波動関数の重ね合わせ状態 [図(a)] を明示的に考慮した点です。理論計算で得たTMR比は、実験で観測された振動挙動 [図(b)] を再現します。
これまでTMR振動の実験は、Feなど限られた磁性体を用いたMTJが中心でした。今後、より多様な磁性材料で実験と理論比較が進むことで、TMR振動の理解がさらに深まり、振動制御やTMR比向上に向けた設計指針の確立につながると期待されます。
TMR効果は、磁気センサーや磁気メモリに応用される代表的なスピントロニクス現象です。応用範囲をさらに拡大するためには、性能指標であるTMR比の向上が不可欠です。この文脈で、NIMSの実験グループは2023年に室温TMR比の世界最高記録を更新しました(T. Scheike et al., Appl. Phys. Lett. 122, 112404 (2023))。同時に、絶縁層膜厚に対してTMR比が大きく振動する現象(TMR振動)を観測し、その起源解明がさらなる高性能化の鍵であることを示しました。TMR振動は20年以上前から知られていましたが、起源は未解明のままでした。
本研究では、従来の理論で見過ごされてきた界面起源のメカニズムを取り入れた新しいTMR理論を構築しました。TMR効果は、磁性層/絶縁層/磁性層から成る磁気トンネル接合(MTJ)で発現し、界面の電子状態が重要な役割を担います。本理論の要点は、界面における波動関数の重ね合わせ状態 [図(a)] を明示的に考慮した点です。理論計算で得たTMR比は、実験で観測された振動挙動 [図(b)] を再現します。
これまでTMR振動の実験は、Feなど限られた磁性体を用いたMTJが中心でした。今後、より多様な磁性材料で実験と理論比較が進むことで、TMR振動の理解がさらに深まり、振動制御やTMR比向上に向けた設計指針の確立につながると期待されます。