磁性材料の有限温度フォノン効果
材料を構成する原子核は空間に静止しているのでは無く、熱的あるいは量子的にゆらいでいます。このゆらぎは物質の安定性や電子状態などに影響を与えることが知られています。本研究では、磁性材料における原子核ゆらぎ効果の定量予測を目指し、第一原理フォノン計算を活用した新手法開発と応用計算を行っています。最近では、レアアースと鉄から成る二元合金のフォノン計算を網羅的に実施し、相安定性におけるフォノン効果を解析しました。その結果、フォノンエントロピーが多くの準安定相を有限温度で安定化させる効果があることがわかりました(Xing et al., 2021)。また、スピン‐フォノン結合が有限温度における磁気モーメントや交換結合、そして結晶磁気異方性などの磁性に及ぼす影響にも興味があり、手法開発を含めた基礎研究も進めています。(Xing et al., 2022)
