12:50-13:00
開会の挨拶
藤田大介 博士(物質・材料研究機構 ナノ計測センター)



13:00-13:40
「低温STMによるSi(001)表面の電子状態測定と構造制御」
鷺坂恵介 博士(物質・材料研究機構 ナノ計測センター)
- 極低温のSi(001)表面では、STM探針からのキャリア注入に応答し周期構造が変化するという物性が発現する。このような性質は表面のキャリア輸送特性と関連していると考えられており、その機構を解明するためには表面電子状態の理解が重要となる。本講演では、Si(001)表面において行われたSTMによる周期構造制御やSTSによる局所状態密度の測定結果などを紹介する。



13:40-14:15
「外部電場はSi(001)面の表面超構造を変化させるか?」
中村 淳 博士(電気通信大学 電子工学科)
- Si(001)-2x1表面における非対称ダイマーのフリップフロップ運動のエネルギーバリアが外部静電場によってどのように変化するかを、密度汎関数理論に基づく第一原理計算により評価した結果を紹介する。



14:15-14:55
「Ge(001)表面におけるSTMによる局所超構造変化」
小森文夫 博士(東京大学 物性研究所)
- Ge(001)表面の超構造はSTM観察中に局所的かつ可逆的に変化させることができる。この過程を考察する際に重要なことは、観察条件のもとでの基底状態超構造とトンネル注入キャリアによる電子励起である。我々は、二つの超構造の境界であるキンクの動きを観察し、この構造変化の機構を調べてきた。これまでに得られた実験結果を表面状態キャリアのダイナミクスをキーワードに議論する。



15:15-15:55
「Si(001)清浄表面の低温における電子線照射効果と低速電子回折による構造解析」
水野清義 博士(九州大学 総合理工学研究院)
- Si(001)清浄表面を40 K程度以下に冷却して低速電子回折で観察すると、c(4x2)パターンからp(2x1)パターンへと変化することを見出した。これは、低温においてのみ起こる電子線によるフリップフロップ運動の誘起で、その原因を詳しく調べた。



15:55-16:35
「Si(001)表面におけるAFMによる構造操作とエネルギー散逸」
菅原康弘 博士(大阪大学大学院 工学研究科)
- NC-AFMを用いて5KのSi(001)表面のステップ近傍における表面形状と散逸されるエネルギーを同時測定し、SAステップ近傍に誘起される内部応力と歪が表面構造に与える影響を調べた。ステップの上テラスでは非対称ダイマー構造が、ステップの下テラスではp(2x1)構造が、表面形状とエネルギー散逸の両方において観察された。これはダイマーフリップ現象がSAステップの下テラスで起こるが、上テラスでは起こらないことを意味する。講演ではこの構造の違いと内部応力と歪との関係について議論する。



16:35-17:15
「外的表面格子歪によるSi(001)表面の階層構造変化」
矢田雅規 博士(物質・材料研究機構 量子ドットセンター)
- 固体表面における階層構造は、表面での非線形応答、自己集合の階層構造形成、反応の多重過程等を誘起する上で重要な役割を果たす。秩序-無秩序転移を起こすSi(001)表面は、転移温度近傍で表面格子歪が多重スケールに変調する見本的な階層構造表面である。 本講演では、この階層構造の成り立ち、異方的弾性歪場の印加による階層構造の変化およびその緩和現象について、これまで得られた定量的知見を報告する。


