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Ti(Pt,Ir)合金マルテンサイト相の電子顕微鏡による組織と構造の解析
原 徹(ナノ計測センター先端電子顕微鏡グループ)
- Ti(Pt,Ir)合金は、1000℃を超える高温域で形状記憶効果および超弾性を発現する可能性が最近見いだされ、注目されている。その動作温度(マルテンサイト変態温度)は、Ti50Pt50のPtをIrで置換する量の増加に伴い一意に上昇する。機械的特性の組成依存性を理解するためには、それぞれの組成での組織と構造に関する情報が不可欠であるため、電子顕微鏡によってそれらの調査を行った。
組成を変化させた4種類の試料を作製し、室温相の高分解能電顕観察と電子回折による観察を行った。その結果、すべて高温相の{110}B2を基底面とした長周期積層構造になっており、組成によってその積層順序が異なっていた。これまで同様の合金系では報告されていない4層周期の構造が確認されたほか、組成によってはHAADF-STEM(高角環状暗視野-走査透過電顕)を利用して積層順序の直接観察を行った。それらの観察から、組織と構造の組成依存性をまとめた結果を報告する。