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直角配置型FIB-SEMによる金属組織3D観察の検討
原 徹 主幹研究員 (ナノ計測センター先端電子顕微鏡グループ)
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実用材料の組織評価には、SEM/TEMからの表面や投影の情報だけでは不十分な場合がある。例えばナノスケールの析出物の体積率や粒界被覆率などの組織を表すパラメータは、SEM/TEMでは正確には求まらない。その解消のために、最近ではSEM-FIBやTEMトモグラフィーによる3D観察が多く試みられている。しかし、実用材料ではナノ・メゾ・マクロの階層的な構造を持つ複相不均質組織であることが多く、その視点からは3D観察に加えてmmからnmのマルチスケールをカバーできる観察手段が望まれる。
それらの両立を目的として、我々は、最近開発されたSEMとFIBが直交した配置の観察装置の応用を検討した。この装置は、通常のFIBとSEMのダブルビーム装置よりも小さなWDでのSEM観察が可能で、より高い分解能・コントラストのSEM像シリーズからの3D再構築が実現できる。今回は、幾つかの金属材料の観察を行った例を示し、高い分解能とコントラストでの析出物組織の評価が、本装置の応用によって可能であることを紹介する。