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TEM用マイクロカロリメータ型EDSの開発
原 徹 (ナノ計測センター先端電子顕微鏡グループ)
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我々のグループでは、TEM用マイクロカロリメータ型X
線分析システムの開発を文科省リーディングプロジェクトとして二
年半実施した。平成21年3月でプロジェクトが終了した
ので、その概要、成果および残された今後の課題について紹介する。
本プロジェクトの目的は、TEMのEDS分析のエネル
ギー分解能を向上させることである。 現行のSi(Li)型
半導体検出器のエネルギー分解能は130eV程度なので、一桁そ
れを向上させれば、これまでTEM-EDSでは不可能であった、ほ
ぼすべての元素からのピークを分離して測定することが可能とな
る。その目的で、動作温度が100mK程度の超伝導遷移端センサ(TES)
型マイクロカロリメータを用いたTEM-EDS分析システムを製作
した。
プロジェクトが終了する現時点では、エネルギー分解能約20eV(at Cr Ka)を達成しており、今後はさらなる分解能向上を目指すとともに、 長時間測定と高計数率測定の実現に向けた改良を実施する予定である。