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原子力機構における保障措置環境試料分析
李 致圭、國分 陽子(日本原子力研究開発機構 原子力基礎工学研究部門 放射化学研究グループ 研究員)
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1990年代初頭のイラクと北朝鮮における核開発疑惑を契機に、国際原子力機関(IAEA, International Atomic Energy Agency)の保障措置の強化・効率化策の一環として導入されたのが「保障措置環境試料分析法」である。これは原子力関連施設の床面、壁面、装置表面などから拭く取りにより採取した試料(スワイプ試料)の中に含まれる極微量の核物質の同位体比を分析することにより、未申告原子力活動を検知することを目的とした新たな保障措置手法である。最近では、シリアの核開発疑惑を巡り、IAEAはイスラエルが空爆した施設周辺から環境試料を採取して分析した結果、微量のウランを検出した。このウランが天然には存在しない、人工的に製造されたものであることが判明した。
スワイプ試料を分析するためには、保障措置に必要とされる技術基準をクリアし、高い分析能力を持つことをIAEAから認定される必要がある。現在、米国とヨーロッパを中心に14施設がIAEAネットワーク分析所(NWAL)として認定されており、日本原子力研究開発機構(JAEA)もそのメンバーとして、2002年にIAEAから認定を受けて以降、IAEA及び日本からの依頼分析を担当している。
現在、原子力機構では国内及び国際保障措置制度の堅持に貢献するために、環境試料中に含まれる極微量核物質の検知及び分析法を開発している。発表では原子力機構で行われている保障措置環境試料分析の活動について、2件に分けて紹介する。
(1)保障措置環境試料分析法について(種類及び特徴等)、李 致圭
(2)サブピコグラムレベルの極微量核物質の同位体比分析法、 國分陽子