希土類系磁石材料の磁化過程メカニズム
次世代永久磁石の開発最前線~磁性の解明から構造解析、省・脱レアアース磁石、モータ応用まで~ ISBN 978-4-86043-586-8 C3050
Abstract
希土類系磁石材料には、Nd2Fe14B相を主相とするネオジム磁石やSm2Co17主相とSmCo5セル境界相、板状のZ相からなるSm2Co17系磁石などが典型的な磁石であるが、これら希土類系磁石材料の磁化過程は、その磁石を構成する磁性相の固有物性とその微細組織に大きく依存することが一般的に知られている。固有物性としては例えば主相の飽和磁化、結晶磁気異方性、粒界相が強磁性相か非磁性相か、強磁性である場合にはその磁化がどの程度あるのかというようなことは非常に重要であり、さらにこのような磁石を構成する相がどのような微細組織、具体的には粒界相の形成具合、主相の結晶粒径、形状、拡散処理を行った際に形成されるコアシェル組織の有無等が磁化過程に大きな影響を与える。また、本節では著者がこれまで多く解析を行ってきたネオジム磁石を主に取り上げ、磁化過程に対する固有物性や微細組織の影響について述べる。