第1回浅田榮一賞
Posted at 06/11/30 PermaLink»
既報の通り、先のX線分析討論会のミキサーの折、第1回浅田榮一賞の授賞式が行なわれました。以下は、日本分析化学会の「ぶんせき」誌のロータリー欄に投稿された記事(予定)です。2007年1月号掲載予定です。
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日本分析化学会X線分析研究懇談会では、元豊橋技術科学大学教授の故浅田榮一先生(1924-2005)のご業績を記念し、X線分析分野で優秀な業績をあげた若手研究者1名程度を表彰するための賞(浅田賞)を創設した。X線分析討論会の発表者(口頭,ポスター),「X線分析の進歩」誌の論文発表者,X線例会発表者など,X線分析研究懇談会が主催する場での研究発表者が授賞の対象となる。2006年度は中野和彦氏(大阪電気通信大学学術研究員)と矢野陽子氏(立命館大学COE推進機構助教授)の2名に贈られることになり、記念すべき第1回の授賞式が第42回Ⅹ線分析討論会(2006年10月20日~21日、明治大学)で行われた。
中野和彦氏は2005年3月に明治大学大学院理工学研究科後期博士課程を修了した新進気鋭の研究者である。受賞研究課題は「ポリキャピラリーX線レンズを用いた共焦点型3次元蛍光X線分析装置の設計と開発」であり、実験室で使用できる試料内部の非破壊元素分析の装置開発に大いに貢献したことが評価された。中野氏はこの研究に加え、プラスチック中の有害元素の蛍光X線分析に重要なプラスチック標準試料の作製にも携わっており、日本分析化学会から世界初の蛍光X線分析用プラスチック標準物質として認証されるに至っている。
矢野陽子氏は、X線反射率を用いた溶液表面の物理化学的研究とX線装置の開発・改良に継続的に取り組み、オリジナリティ豊かな成果を挙げている。受賞研究課題は「試料水平型X線反射率測定装置への人工多層膜モノクロメータの適用」であり、前所属の学習院大学理学部化学科飯島研究室での研究成果が高く評価された。矢野氏は、立命館に移ってからは、たんぱく質のフォールディング問題へのX線反射率法・回折法による新しいアプローチを提案し、SPring-8 の高輝度放射光を用いた研究に取り組んでいる。
両名とも、単に優れた研究成果を挙げているだけでなく、新しい研究の潮流を生み出すポテンシャルの高さの点で特筆すべきものがあり、今後もX線分析関連のコミュニティで継続的に活躍されることが期待されている。
なお、故浅田榮一先生のご業績に関心のある読者は、「X線分析の進歩」第37集((株)アグネ技術センター、2006年3月発行)の1~7ページをご覧頂きたい。
[大阪市立大学 辻 幸一、物質・材料研究機構 桜井 健次]
