X線分析研究懇談会「第5回浅田榮一賞」

Posted at 10/08/12

本年の浅田賞が決まりました。「ぶんせき」誌2010年9月号に掲載予定の辻先生の記事を以下に転載いたします。受賞される栗崎さん、本当におめでとうございます。10月の広島でのX線分析討論会では受賞講演も予定されているということです。

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日本分析化学会X線分析研究懇談会では、元豊橋技術科学大学教授の浅田榮一先生(1924- 2005)のご業績を記念し、X線分析分野で優秀な業績をあげた若手研究者を表彰するための賞(浅田賞)を設けている。X線分析討論会の発表者、「X線分析の進歩」誌の論文発表者、X線分析研究懇談会例会発表者など、X線分析研究懇談会が主催する場での研究発表者が授賞の対象となる。
 第5回にあたる2010年度の浅田賞は、栗崎敏氏(福岡大学理学部助教)に贈られることになった。受賞研究課題は「X線吸収スペクトル測定装置の開発と各種金属イオンおよび金属錯体の溶存構造解析」である。授賞式と受賞講演は第46回X線分析討論会(10月22日・23日、広島県情報プラザ)で行われる予定である。栗崎氏への授賞理由は、以下の通りである。
 栗崎敏氏は2009年11月の第45 回X 線分析討論会において「軟X線吸収分光スペクトル測定用生体試料測定システムを用いた水溶液中の軽元素イオンの溶存構造解析」に関する口頭発表をされ、「X線分析の進歩」第41集に「軟X線分光スペクトル測定装置用生体試料測定システムの設計・開発・性能評価」の題目でその成果の一部を報告された。金属イオンや金属錯体は化学工業や生命現象において本質的な役割を演じており、溶液中の金属イオンや金属錯体の溶存構造を決定することは、金属錯体の性質や反応性を明らかにする上で非常に重要である。一般に、金属錯体の構造は固体状態で単結晶構造解析などを用いて多くの研究が行われているが、溶液中の金属錯体は種々の条件により複数の化学種として存在するため、その構造を決定することは困難である。栗崎氏はこれまで、X線吸収分光法を用いた各種金属錯体の溶存構造解析に関する研究に取り組み、独自に合成した種々の大環状ポリアミン配位子を用いた銅(II)錯体の溶存構造を明らかにされた。さらに、実験室でリチウム等の軽元素の超軟X線分光スペクトルを測定可能な装置を開発し放射光施設並みの精度でXANESスペクトルを得ることが可能であることを実証された。近年は佐賀県に建設された九州シンクロトロン光研究センターの軟X線ビームラインBL-12の建設立ち上げにも参加され、このビームラインに接続可能な溶液試料用の軟X線分光システムの設計と試作を行われた。特にユニークな点は大気圧下で軽元素に対するX線吸収スペクトル測定が可能な点であり、今後の生体試料への応用も期待される。以上のように、これまでの栗崎氏の研究業績はX線分光分析の分野に大きく貢献するものであり、今後の発展が大いに期待される。
 なお、浅田榮一先生のご業績に関心のある読者は、「X線分析の進歩」第37集(アグネ技術センター、2006年3月発行)の1~7ページを参照されたい。
(大阪市立大学大学院工学研究科 辻 幸一)

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このページについてお気付きの点がございましたら、sakurai@yuhgiri.nims.go.jp (物質・材料研究機構、桜井健次)までご連絡ください。

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