溶接すると、鋼板の溶接部の局所が加熱、冷却されるため、溶接部近傍の材料は膨張、収縮を生じます。
この結果、溶接部に引張残留応力が発生します。 これが、溶接構造物の破壊の一因になる場合があります。
溶接時の冷却過程における材料の収縮が特に問題であり、そこでもし冷却時に溶接金属の収縮を
抑える(制御する)ことができれば、溶接部での引張残留応力を低減することができます。
一般に鉄鋼材料は冷却時には収縮するが、 fcc から bcc へ相変態をするときは冷却中であっても
膨張する特性があります(図参照)。
この相変態膨張を有効に活用して (右図) 残留応力を低減するために開発
された溶接材料1)、2) を 低変態温度溶接材料 といいます。
<出 典> |
1) 村田 : 学位請求論文、東京工業大学(1996) |
2) 太田昭彦、渡辺修、松岡一祥、志賀千晃、西島敏、前田芳夫、鈴木直之、久保高宏、 低変態温度溶接材料を用いた角回し溶接継手の疲労強度向上、 溶接学会論文集、Vol.18 (2000)、 No. 1、141-145 |